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第15話-13 秋の誕生日
そろそろ、と電話を切る頃、美代子が言った。
「また東京寄らせてもらった時、お家寄ってもええかな?」
すると姉がえ!ずるい!私も!と言った。
春はそれに優しく微笑み、ぜひ、と言った。
電話が切れ、美代子と友希ははぁ〜、とソファに項垂れた。
そうしてはよお風呂入ったら?とあっさりと二人に言って立ち去ろうとする秋をちょっとちょっと、と逃さなかった。
「家でどんな感じなん?」
「え?春?」
「そらそうや 他に誰おるんやな」
「え〜?普通だよ、テレビで見るまんま」
「えへぇ〜…?裏とかないん?」
「裏?ないない、ほんっとに優しい人だよ」
へぇ〜…と二人はまた恍惚な表情をした。
ほんまに迷惑かけたらあかんで、ほんであんたも壱川春にあやかって売れなあかんでほんま、と言い、秋はそれに苦笑しつつも頷いた。
――
翌朝早く、では…と家を出ようとした秋だったが、美代子にそれをあっさり止められ、美代子が働く美代子の両親、すなわち秋の祖父母が営む中華料理店でしっかりと1日こき使われた。
そうしてその日夜遅く、すでに新幹線の終電が終わった時間、秋は少しでも早く春に会いたい一心で、夜行バスに飛び乗って東京に戻った。
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