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第15話-14 秋の誕生日
朝5時頃、やっと東京駅につき、急いで春の自宅へ急ぐ。
寝室へ飛び入ると、春は静かに寝息を立てて眠っていた。
その顔を見た途端、秋の頬は緩んだ。
春の横に身を倒し、そーっと春を抱き寄せる。
すると春はんん…と小さく声を上げ、秋に腕をそっと回して優しくきゅっと抱きしめた。
秋は驚き、春の顔をのぞくが、春は起きていない。
寝ぼけたまま、秋に腕を回したのだ。
それに秋は思わずくく、と小さく笑い、そんな春の頬にキスを落とした。
そうして春をくすぐるように、春の顔を何度も何度も唇で撫でる。
すると春がふわっと目を開け、秋に回した腕の力を強め、ぎゅっと秋を引き寄せた。
そして掠れた声で言った。
「……おかえり」
いつも秋がおかえり、というばかりで、そうして春が秋に言うのははじめてのことだった。
秋は胸がくすぐられるようで、また何度も何度も春の顔にキスをした。
それでも秋の気持ちは収まらず、抑え切れない情動のまま、春の耳たぶに歯を立て、きゅっと甘噛みした。
春はんん…いたい、と呟いて少し笑いながら顔を背けたが、秋はかまわず耳たぶに齧り付く。
「…なにそれ」
春が甘い声で尋ねる。
「分かんない 噛みたくなった」
「…ええ〜…」
そう言って秋が噛むと春はいたいよ〜とぼやくが、顔は笑ったままだ。
そうして秋が噛み続けていると、春がぎゅっと腕の力を強めて秋を動けないようにして、こら、と言った。
それでも秋がそばにあった春の首に舌を伸ばして何度も撫でると、くすぐったい…と笑って秋を逃した。
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