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第18話-1 冬の日

その日、春がいつもより早く帰宅する、ということで、秋はいそいそと夕飯の準備をしていた。 季節はすっかり冬になり、春はこのところ年末年始の特番や音楽番組の収録、その準備でめっきり忙しく過ごしていた。 そうして久々にゆっくり二人で過ごせると言うこともあって、秋はかなり気合が入っていた。 ガチャ、と音がして、秋はすぐさま玄関に飛び出した。 春は秋がプレゼントしたマフラーを身につけて、秋を目にした瞬間ふわりと笑った。 秋は春に飛びつき、おかえり!と大きな声をあげた。 「ふふ、ただいま」 ん、いい匂いする、と春が嬉しそうに言う。 秋がそれに、鍋だよ、と言うと、またさらに春は頬を緩めた。

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