143 / 236

第18話-9 冬の日

ゆっくりと瞬きをして、秋を見つめる。 秋は今日はだめなのに…と、それでも我慢ならず、その瞳に吸い込まれるように春に口付けをした。 そっと春の唇が開き、秋の舌を撫でる。 起きたばかりで春の体温は高く、舌先を通じてその温もりが伝わる。 秋の腰を掴んでいた腕がゆっくりと解かれ、春の手のひらは秋の首の後ろに伸び、秋の髪を巻き込んでそっと撫でる。 秋もたまらず、春を求めるように回していた腕で引き寄せた。 すると春は、キスを続けながらゆっくりと起き上がって秋に覆い被さるようにして秋をその目で見下げた。 「……あと何分?」 こうして朝に盛り上がると、春が決まって秋に尋ねる言葉だった。 いつもならあと一時間、と秋が言って、それに春が早い、と小さく笑う、というのがお決まりなのだが、今日は違う。 「……20分くらい…」 そう秋が言うと、春はぴたりと動きを止め、秋の肩に顔を埋めて小さく拗ねたような声で言った。 「……おそい…」 起こすのが遅い、という意味だろう。 しかしすっかり秋はその気になってしまい、甘えるように言った。 「……できるよ…?」 その言葉に春は、んん…と小さく唸ったあと、秋の首筋に唇を這わせ、秋の服に手を忍ばせて、肌を撫で始めた。 胸の突起に指がかかり、秋は小さく声を上げる。 いつもならそうして何度もそれを繰り返して、秋がとろけるような目線を向けたあと、手は下に伸びるのだが、今日はあっという間に春の手が秋のものに伸びた。 とは言えすでに秋のものは硬く反応し、春はそれをゆっくりと手で包み込んで素早く擦った。 秋は春の首を強く掴み、その快楽に吐息を漏らして顔を歪ませる。 そのあと春は秋にキスを繰り返しながら手だけを伸ばし、チェストからいつものようにローションとゴムを取り出した。 そうしていつもならローションを先に手に取り、ゆっくりと秋を解してからゴムをつけて、いざ、という流れなのだが、春は先にゴムを手に取り、すでに硬く張った自分のそれにゴムを素早くつけた。 そうしてローションを手に取り、上体を屈めてまたキスをしながら秋の後ろを撫でるように触ってからすぐ中に指を触れた。 その最中には秋のものに自分のそれを擦るように腰を動かし、秋はそれに声を漏らす。 「……挿れるね」 そう余裕なく春が耳元で囁いてすぐ、春のものが秋に入ってきた。 いつもより時間がなく、秋の後ろはまだきつく締めており、秋はその圧迫感に思わず声を上げる。 「………きつ…い…」 春はその声を聞き、ごめん…痛い?と小さな声で尋ねる。 秋は首を横に振り、いいから…と甘い声を上げる。 うん…とつぶやいて、秋を気遣ってか、春は奥までそれを入れたあと、じっと動かないでいる。   秋の奥は、春のそれをきつく締めあげ、そうして時折ビク、と勝手に痙攣した。 春のものを、そして春のものが与える快感を覚えているのだろう。 秋は春が動いていないのに、甘い声を上げた。 そして待ちきれず、秋が腰を上げる。 春がそれに小さく吐息を漏らした。 春のその反応に、秋はまた中を痙攣させて反応してしまう。 そうして秋がそれを繰り返すと、春も次第に腰を動かし始めた。 いつもより早く、春の腰が秋に当てられる。 「…んぁっ……んっ……あっ…ああっ…あっ……」 秋の声が寝室に響く。 春は秋に全身を擦り付けるように腰を動かし、春の腹に擦れた秋のものから、勢い良く白い液が飛び出した。 同時に秋はこれまでよりも強く腰を振るわせ、春のものを強く締め付ける。   春はそれに顔を顰めながらも、動きを止めない。   秋はいったばかりで止まらず与え続けられる快感に大きな声をあげ、春の背中に思わず爪を立ててしがみつく。 そうしていつもより強く荒々しく突かれ、大きな声を上げる秋の唇を塞ぐように春が唇を重ね、とん、と秋のより深いところに春のものが届いたとき、中で春のそれが何度も震えるのが分かった。 荒い二人の吐息が響く中、春の携帯が鳴り始める。 しかし二人はそれを見ることもせず、ただ互いにその熱を分け合うように強く抱きしめあった。

ともだちにシェアしよう!