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第19話-3 春の誕生日
そうしていつものように洗濯乾燥機から洋服を取り出し、春のTシャツを畳みながら、ふとタグに書かれたブランド名と品番で検索してみる。
そして秋は目を丸くした。
「20万!?」
思わず画面に書かれた値段を叫んでしまう。
そうしてTシャツを恐る恐る置いて、春のクローゼットを開けると、同じブランドの服が所狭しと並んでいた。
試しにそれらの服の品番で検索すると、そのTシャツ以上の値段が次々に表示され、秋はガクッと項垂れた。
それでも分かったことがある。
春の服のほとんどがその同じブランド物らしく、春はそのブランドがお気に入りであることだ。
秋は慌てて通帳アプリを開き、残高を確認する。
…なんとか一着くらいなら買えるだろう。
秋はそのブランドの服をプレゼント候補に入れ、春のクローゼットをそっと閉めた。
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