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第19話-4 春の誕生日

その夜、また深夜に帰宅した春は帰宅早々ソファに座り込み、秋が食事を温めている間にうとうととし始めてしまった。 そんな春を起こし、秋は春と共に食事をとる。 春は少しぼんやりしていて、いつもよりも食べるスピードがゆっくりだ。 「疲れた?」 秋がそう尋ねると、春が少し間を置いて、眉を下げて笑って頷いた。 そうして春が素直に疲れた、と言ってくれるようになったのは、ここ何ヶ月のことだ。 秋にとってはそれは嬉しいことだった。 「ちゃんと食べて早く寝よう」 そう秋が言うと春はうん、と静かに頷き、重そうな瞼をゆっくりと上下させながらまた食べ始めた。 布団に潜り込んですぐ、春はすーっと寝息を立て始めた。 秋がそんな春の髪を撫でながら眺めていると、15分ほどしてんん…と春が目を覚ました。 このところいつもそうだ。 春は極限まで忙しくなると眠りが浅くなってしまうようで、そうして夜中に何度も目を覚ますのだ。 明け方、春が起きる時間になるとやっと春は深い眠りにつき、そうして朝起こす時にはいつも以上に目覚めが悪くなかなか起きない。 そんな春に秋は手を焼いていたが、何よりも心配が勝っていた。 春が眠れるようにと、秋は黙って春の髪を撫で続ける。 すると春が静かに口を開いた。

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