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第21話-6 忙しい日々
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「…んぁ…っ…んン…」
ベッドのそばには春が先ほどシャワーを浴びたあとに着たばかりのTシャツとスウェットが乱雑に脱ぎ捨てられ、秋はベッドの上で甘い声をあげていた。
最近は秋がすっかり疲れて先に寝てしまい、朝もギリギリに春を起こすので時間がなく、そうして前に二人が体を重ねてからすでに3週間が経っていた。
久しぶりの甘い時間に秋も春もあまり余裕がない様子で、早くお互いが欲しいと急ぐように互いの身体に触れている。
それでも春は秋を気遣い、何度も丁寧に秋の中を指でじっとりと掻き回し、ゆっくりと解した。
秋の表情をじっと鋭く見つめ、秋が声をあげるところばかりを優しく刺激する。
そうして秋が何度も懇願してやっと、春は秋の中に入っていった。
入れてすぐ秋は何度も春のものを締め上げて腰を振るわせ、すでに秋の腹には秋が出した白い液がねっとりとまとわりついていた。
それでも春は秋に何度も舌を絡ませ、いつもより少し荒く腰を動かし続ける。
「…ん…しゅんん…ッ……ッはぁっあ…」
そうして秋がまた春のものを締め上げ、秋の先から再び白い液が溢れ出るのと同時に、秋の中で春のものがビクビクと脈打つのが分かった。
春は秋の耳元で耐えきれないと言った様子で小さく吐息を漏らした。
「……春…」
荒く息を吐いて秋に覆い被さる春の耳元で、秋は甘えるように名前を呼んだ。
春は…ん?とうわごとのように返事をした。
「……もう…いっかい…」
秋がそうねだると、春はまだ秋に入れたままのものでゆっくりと秋の奥を突いた。
それに息を漏らした秋の首筋を舌で撫で、またもう一度ゆっくりと奥を突く。
秋のとろけるような声に、春はゆっくりと深く腰を動かし続ける。
そうして春に快感を与えられながら、秋が吐息混じりに言った。
「……ほんとは…」
「…ん?」
「ほんとは寂し…かった…」
秋のその言葉に、春は動きを止めた。
しかしそれに秋はやめないで、と春を強く引き寄せ、春はまたゆっくりと秋の奥を突く。
「……昼…会った時……
春が…俺のこと…
忘れちゃったみたいで…
寂しかった」
春は腰をゆっくりと動かしながら、秋に唇を重ねてから言った。
「…ごめんね」
「…んん……おれ…しゅん…の…彼氏…?」
「…そうだよ」
「……じゃあ…印…つけて……キスマーク…春のって…」
秋のその言葉に春はぴた、と動きを一瞬止めた。
しかしまたゆっくりと動き出し、言った。
「…仕事で困っちゃうよ」
すると秋が顔を横に背け、言った。
「…耳の後ろ 髪で隠れるとこ」
春は少し間をおいてから、ゆっくりと秋を突きながら秋に指定された耳の後ろ、首筋をちゅ、と強く吸った。
ピリ、とした刺激が秋に走る。
春が首筋から唇を離すと、秋が尋ねる。
「…ついた?」
「…ついたよ」
春がそう返事をすると、秋は嬉しそうに微笑んだ。
そうして春に尋ねた。
「……春も…おれの…?」
「…そうだよ」
秋は嬉しそうな顔で、甘い声をあげながら言う。
「………それは…俺がちゃんと覚えとくね…?……春…ドラマで……つけらんないから…」
すると春が徐に、自分の髪をあげるようにして髪を束ねた。
その動きに、秋が尋ねる。
「……いいの…?」
「…おなじとこ」
「……でも…」
「…いいよ」
秋はそっと首を伸ばし、先ほど刺激を感じたところと同じところ、春の首筋にそっと唇を当てた。
そうしてちゅ、と強く吸う。
秋が1番好きな、春の匂いが鼻をつく。
春に許された喜びと、春は自分のものだという強い独占欲が秋を支配する。
そうして一度では足りず、何度も強く春の首筋を吸った。
やっと秋が唇を離し、そうして春の首筋についた印を見た時、秋は嬉しそうに春の目を見つめて言った。
「…俺の」
その時、春の目の色が変わるのが分かった。
春は秋の唇を塞ぐように唇を重ねた。
そうして秋の口に捩じ込むように舌を入れ、秋の舌を絡め取った。
ゆっくりと動いていた腰が途端に速くなり、秋の中を深く荒く突き出した。
それに秋は嗚咽のような声を漏らした。
それまで届いたことのないほど深く差し込まれる春のそれに、秋の腰はガクガクと震え出す。
それでも春は動きを抑えることもやめることもせず、ただ何度も秋に強く腰を打ち当てた。
春の漏れだす荒い吐息が秋の耳を刺激する。
春は秋の頭の先を腕で囲み込み、秋の逃げ場を無くした。
そうして秋が締め切った喉から痙攣するように息を必死に吸い込んでそれを身体の底から捻り出すように声と一緒に吐き出した時、春は秋を強く抱きしめ、秋の中でそれを何度もドクドクと震わせた。
そうして力尽きたように春は秋から転がり落ち、ベッドに傾れ込んだ。
はぁ、はぁ、と荒く肩を上下させ荒く息を吐いた。
伏せた目から覗く瞳は虚ろに光を纏っていた。
秋も同じように荒く息を繰り返し、ただそんな春を眺めた。
ベッドに放り出された春の手を、秋がぎゅっと握った。
春もそれに応えるように、強く握り返した。
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