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第23話-6 束の間の
その日は帰ってすぐ二人はシャワーを浴び、そうして夕方頃まで仮眠をとった。
そうして起きてからは秋の母親が送ってくれていた年越しそばを食べた。
そばを食べ終わり、リビングのソファに二人してだらん、と寄り添うように座ってぼんやりとテレビを眺めた。
ふと秋が言った。
「俺…贅沢になっちゃった」
「贅沢?」
「コロナになってさ、何日か一緒にずーっと家にいたでしょ?」
「うん」
「だからさあ、あれがなかったらこの休み、本当だったら一緒にいれるだけで嬉しい!って思っただろうにさ、どっか行きたいな〜って思っちゃう」
そう言った秋に、ふふ、と春が微笑む。
「…散歩とかする?」
「したいけど…松永さんに怒られちゃう 俺手繋がないでいれる自信ない」
そう言って秋はニヤリ、と笑って春を覗き込んで言う。
「…春も自信ないでしょ」
朝の神社での春の突然のキスを思い出す。
これまでなら春は絶対にそんなことをしなかった。
秋の好きという気持ちがちゃんと伝わって、そして春も同じように思ってくれている。
春からのキスは秋にとっては何よりも特別だ。春から触れたいと触れてくれることは春に安心を与えられていることの証明だ。
秋は誇らしくすら思った。
春は秋のその言葉に困ったように笑い、小さな声で、ない、と言った。
そっと春に顔を寄せる。
すると春はそれに応えるように、同じように顔を寄せ、秋にキスをした。
秋はにたぁ、と笑い、春の肩に頭をのせた。
「…嬉しい 春からキスしてくれんの」
「…今のは秋からでしょ?」
「俺なんもしてないもん 顔近づけただけ」
ふふ、と春が肩を揺らして笑う。
「…神社でもしてくれたよ」
「…怒られちゃうね 松永さんに」
「…一緒に怒られよう」
そうしてまた秋がすっと顔を寄せると、春がじ、と秋を見た。
秋はそれでも動かず、ただ少しだけ顎を上げるような仕草をした。
春は少し微笑んで、言った。
「…これは秋からだよ」
「…何もしてないよ」
ふっ、と春が息を吐き、そっと秋に唇を重ねた。
秋はそっと目を閉じて、少し唇を開いた。
ぬる、と春の舌が伸びて、秋の唇をそっとなぞる。秋は嬉しそうにその舌をちゅ、と吸った。
舌が何度も絡み合い、春の手がそっと秋の首筋に伸びた。
秋は春に擦り寄り、そっと膝を春の太ももに乗せる。春はそれをぐい、と引き寄せ、秋は春の上にまたがるようにして何度も二人はキスを繰り返した。
春の手が秋の服の中、秋の背中を優しく何度も撫でるように肌を滑る。
秋がおもむろに着ていたTシャツを脱ぎ捨てると、春はそのまま秋の身体に唇を這わせた。
秋の乳首を春が吸って、んん、と秋は反応して声を上げ、むずむずと反応した下のものを春に撫で付けるように、腰を動かした。
春の手はするりと滑り落ち、秋の腰元の肌を撫でた。
そうして下着に手をかけ、秋が少し腰を浮かせたのと同時にずり落とした。秋のものがあらわになり、春の手はそれに伸びた。
キスを繰り返しながら春はゆっくりと秋のそれを手で包み込むように撫でる。
秋は物欲しそうに何度も腰を動かし、自らで春の手から与えられる快感を拾いに行く。秋の先からはすでにぬるりとした液が漏れ出てきていて、春はそれをくりくりと秋の先に塗り広げるように指で弄った。
ふと目が合う。
春の目が青黒く光る。
こういう時だけする、あの鋭く求めるような視線。
春がソファから身を起こし、秋を抱き抱えてゆっくりとソファの座面に秋を倒した。秋は春のズボンをゆっくりと下げ、春のものに手を伸ばす。
すでに春のものも硬く張り、秋と同じように先から漏れ出た透明な液を先ほど春がしたように指で春の先になでつける。
吸い付くように繰り返されるキスの合間、秋が吐息混じりに言う。
「……準備…してくる…」
すると、春はいい、と言った。え?と秋が声を上げると、言った。
「………秋のも一緒に持って」
その言葉に、秋はそっと自分のものと春のものを合わせて手で包み込んだ。すると春がゆっくりと腰を動かし出した。
自分の手で締め付ける感覚と、側面を何度も擦りつける春のものから与えられる快感に、秋は小刻みに吐息をあげる。
「…あ…やば……い……きもち…いい…」
そう言って秋が顔を顰め、たまらず手をゆっくりと動かし始めた。そうして互いの先から漏れた液が絡んだ2本が擦れるたびにいやらしい音を出す。
「……しゅんも…きもちい…?」
「……きもちいいよ」
春の素直な返答に秋は嬉しくなる。
「…あやばぃ…いっちゃう……ぁあ…」
そう言ってすぐ、秋の先から勢い良く白い液が飛び出した。春はそれでも動きを止めず、秋の出した液を手で掬い、互いのそれになすりつけた。
擦れるたびにぬちゃ、といやらしい音が響く。
「……ぁあぁぁ…っ…」
秋が甘い声を漏らす。
春の動きが早くなり、出すね、と春が短く言った後、秋の腹には春が出したものが滴り落ちて広がった。
春はそれに構うことなく、はぁ、と息を吐いて秋の上に身体をのせた。
秋は春にそっと腕を回し、春の髪を愛おしそうに撫でた。
そうしてふと、つけたままだったテレビの音が聞こえてきた。最中は春に夢中で、すっかり聞こえていなかったが、番組はすでに切り替わり、次の正月特番が放送されていた。画面には春が映り、いつものように微笑んで他のメンバーが話すトークに耳を傾けていた。
秋はそれを見てふっと笑った。
「……ん?」
「…テレビ、春でてる」
そう秋が言うと、春も少し顔を上げてテレビに目をやった。
「全然違う顔してるね さっきと」
「…こんな春、誰にも見せらんないね」
そう言って秋は春の髪に顔を埋め、小さな声で言った。
「…シャワー浴びたら…もういっかいしよ?」
「…うん」
そうして二人は浴室に向かった。
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