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第27話-6 それぞれの翌日
――
不安そうな顔をした崎山に、上条が言った。
「あの壱川春に"全部が好きだ"って言わせるようなやつだろ?
…大丈夫だって」
その言葉に崎山は、そうだね、と言いながら、小さく何度か頷いた。
そうしてしばらくして2人は控え室に戻った。
控え室には撮影の順番を待つ春と、そしてすでに撮影を終えた渡邊悟がいた。
時刻は20:00直前。
もうすぐ秋が出演する生放送の音楽番組が始まる頃だ。
徐に渡邊が立ち上がり、テレビの電源をつけた。
そうしてテレビ前のテーブル傍の椅子に腰掛け、じっとテレビを見つめている。
上条と崎山は目を見合わせ、そして渡邊のそばに腰掛けた。
春はそれに気づいているのかいないのか、じっと姿勢を変えず、テレビに背を向けて俯いたままだ。
そんな春に、渡邊が声をかける。
「春」
ふっと視線を向けた春は、続けて暇だし見よーぜ、とラフに声をかけた渡邊から視線を外し何度か瞬きをした後、スッと立ち上がり、うん、と小さく返事をして、渡邊の隣に腰掛けた。
渡邊は、そうして隣にやってきた春の顔のチラリと覗き見てから、春に肩を組んでにこりと笑って言った。
「楽しみ〜!」
春はそれに何も言わない。
そんな春の背中をポン、と優しく叩き、渡邊は再びテレビと向き合った。
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