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第27話-11 それぞれの翌日
静かに電話に聞き耳を立てていた秋は驚いたようにその電話を受け取り、そうして恐る恐ると言った様子で話し出した。
「あ、あ…あの…俺…だけど…」
『…』
「あ、あの…その…さっきまでその…霧峰さんにご飯連れてってもらってて…あ、その…さっきMオンで…それに霧峰さんが来てくれてて…それでその、そのまま…って感じだったんだけど…で、あ、今…その…新しい家?にその…連れてきてもらってて…」
『……』
「え、あ、あれ、き、聞こえてる?」
『…うん、聞こえてるよ』
「あ、あ、そう…あ、うん、良かった…」
『…』
「…」
「……えっと…」
『…そこにいて』
「…え」
『今から行くから
…そこにいて』
「……うん」
「あっ…住所…」
そう呟くように言った秋は霧峰に目線をやるが、霧峰は松永が知ってるわよ、と秋に言った。
「あ…松永さんが知ってるって…」
『分かった』
そうして秋はじゃあ、と霧峰に電話を渡し、短い会話の後、霧峰は電話を切った。
するとすぐ、じゃあ行くわね、と霧峰は鞄を手に取った。
秋はえっ、と声をあげ、え、でも春が来るって…と言うが、霧峰は笑って言った。
「私がいても意味ないでしょう
あなたに会いたくて来るんだから」
そう言ってそそくさと去っていってしまった。
秋は何もないだだっ広い部屋に1人、ぽつんと床に座り込んだ。
不安と期待、それ以外にも言葉に表せないような思いが、秋の胸に渦巻いていた。
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