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第28話-3 "言えなかったから"

―― そうして2人が帰った後、春と秋は順番にシャワーを浴び、一緒に布団を敷いた。 だだっ広いリビングにぽつんとふたつの布団を並べるも、結局2人は一つの布団に潜り込んだ。 秋は春の胸に潜り込み、春も秋を大事そうに抱き寄せる。 秋が嬉しそうに呟く。 「なんか合宿みたいだね」 すると春はふふ、と釣られて嬉しそうに微笑んだあと、言った。 「家具、揃えないとね」 「でも前の家のやつは?」 「持ってくる?」 「どれくらいで持って来れるかな」 「ん〜…どうかな」 秋は春を見上げ、言った。 「…ずっとこれでもいいけどな」 それに春が笑い、ご飯とか困るよ、と言った。 すると、秋はまた春の胸に顔を寄せ、そして小さな声で言った。 「…なんでもいい なんでもいいな 春が一緒にいてくれるならさ…なんでもいい」 そう秋が言うと、春はそっと秋の頬に手を触れ、そうしてそっとキスをした。 ゆっくりと唇が離れると、秋が照れ臭そうに言った。 「…してって言わなくてもしてくれる」 「うん」 「…うれしい」 そう言って今度は秋から春にキスをした。 やがてそのキスは深くなり、互いの舌が触れ合う。秋の手が春の背中の肌に触れ、その手は春の肌を愛おしそうに撫でる。 春はゆっくりと秋に覆い被さった。 キスを繰り返し、秋の服の下、肌に触れた。 そしてスウェットを捲り上げ、秋の乳首を舌で撫でた。 秋は手を伸ばし、そんな春の首筋に手を回す。 秋が春の愛撫に小さく息を漏らすと、春の目線と秋の目線が交差した。 秋はそれに、ドキリとした。 これまでだって、もう数え切れないほど、春とはこうして身体を重ねてきた。 それでもなお、とてつもない速さで心臓が鼓動していた。 考えるよりも先に、思いが込み上げる。 好きだ。 好き。 好き。 春が好き。 込み上げるそんな思いに秋が息を漏らして微笑むと、春が不思議そうに表情を伺った。 秋が呟くように言った。 「……好きだなあって」 すると春は再び秋にキスをして、言った。 「…僕も好きだよ」 「ふふ…うん」 「…好き」 「…ふふ…うん」 「好き」 「…俺も好き」 そうして2人ともが照れくさそうに笑い、再び2人はキスを交わす。 春の手が秋のズボンに伸び、春は秋の全身を舌で撫でながら、秋の固くなったそれをゆっくりと撫でた。 その手の動きは次第に早まり、秋の小さく漏れる声が部屋に響いた。 物がないせいか、いつもよりも大きく聞こえ、秋は思わず手の甲で口を塞ぐ。 しかしその手を春がそっとどかした。 目線が交差して、秋は白状するように小さな声で言う。 「…なんか…恥ずかしい…」 「なんで?」 「なんか…声…響くから…」 「…かわいいよ」 「……かわいく…ない…し…」 「かわいいよ」 「…やめ…て… 言われ…慣れてないから…それ… ドキドキして…死んじゃう…」 秋がそう言うと、春は愛おしそうに、小さく微笑んで、再び言った。 「…かわいい」 春のその言葉に、もぉ…と声を漏らした秋に構わず、春は再び手を動かし始めた。 そうしてキスを繰り返し、やがて秋が春の背中を強く掴んだ時、どく、どく、と秋の先から白い液が飛び出した。 そうして秋は春の耳元で、言った。 「……挿れて」 「…何もないから…ダメだよ」 「…良いから」 「ダメだよ」 「…なんで?」 「痛いよ ローションないと」 「…これでいい」 秋はそう言って、自分の腹に広がった白い液を手で掬い、春のズボンをずらして春のそれに擦り付けた。 そうして秋は春のものを手で擦る。 そうしてまた、ねだるように言った。 「…挿れて?」 しかし春は首を縦に振らない。 「…明日買ってくるから」 「…やだ…今挿れてほしい…春も…そうでしょ…?」 「…明日」 「……なんでぇ…春…」 そう駄々をこねるように言う秋に、春はそっとキスを落とし、そうして秋の隣に身体を落とした。 そうして秋を手繰り寄せて抱きしめて、言った。 「…大事だから…出来ない ちゃんと準備するから …明日」 そんな春の言葉に、秋もとうとう観念し、そうして春を見つめ、秋は言った。 「…明日ね ………絶対ね」 春はそれに優しく微笑み、うん、と言った。 秋は春に額を寄せ、じっと目を見つめて尋ねる。 「…今、我慢してる?」 すると春は1度目を伏せて、そうしてまた目を合わせ、笑いながらも顔を顰めていった。 「…凄い、してる」 その春の返答に秋は思わず息を漏らして笑う。 そうして秋はそっと起き上がり、春にまたがり、春のズボンをずらして春のものをゆっくり口に含んだ。 自分の出した液のせいか、秋の口には苦味が広がる。思わず秋は春のを咥えたまま、にがい、と言った。 春はそんな秋をじっと見つめ、そっと秋の頭を撫でた。 そうして何度も舌で愛撫するうちに、さらに春のものは大きく固く張り上げる。 きもちいい?、と、秋は再び咥えたまま春に尋ねる。 春は小さく息を漏らし、…ん?と聞き返した。 秋は再び同じ言葉を同じように繰り返した。 と、その時、春が待って、と声をあげ、手で触れていた秋の首元をそっと押した。 咥えていたものが秋の口から出て、そうして春のものからどくどくと白い液が滴り落ちた。 秋はそれを見て、春の腹に落ちた液を少し舐めとった。春はそんな秋に驚いたのか、咄嗟にダメだよ、と小さく声をあげたが、秋はにっと笑って言った。 「…苦い」 そしてそのまま秋は春にキスをして、春の舌を舐めた。 春はそれに少し眉を顰める。 秋はその反応にくすりと笑い、苦い?と尋ねた。 春は困ったように小さく笑い、苦いよ、と言った。 「春のと俺の、おんなじような味する」 そう言った秋に春は再び困ったように笑った後、春の上に跨った秋を起こすように上体を起こし、そのまま秋を抱きしめた。 秋もそれに応えるように、ぎゅっと春を抱きしめる。 「…シャワー行こっか」 「…うん」 そう言ってからもしばらく、2人はじっとただ、互いを強く抱きしめあっていた。 ――

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