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第28話-4 "言えなかったから"

―― 翌朝。 アラームの音で目が覚めた秋は、隣に眠る春の寝顔を見てたまらず微笑んだ。 相変わらず、春は少しの声掛けではびくともしない。 なんだかそれを、今日は無性に嬉しく思ってしまう。 付き合ってから2年ほど。 一緒に暮らす中で生まれた日常が、今日、そこにある。 それがたまらなく嬉しくて、愛おしい。 何度も春の額にキスを落としていると、やがて春がもぞもぞと動き始めた。 そうしてやっと目を開いて、まだ潤んだ瞳が秋を捉えたとき、春はそっと微笑み、まだ寝起きの掠れた声で言った。 「…おはよう」 秋はそれに声を漏らして笑った。 「…なんで…笑ってるの…?」 寝起きの声でそう尋ねる春に、秋は嬉しそうに言った。   「ううん、なんでもないよ ……おはようっ!」 そう言って春にしがみつくように抱きついた秋に、春は嬉しそうに微笑んだ。

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