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第七章 忘れる方法
決して長くはなかった、怜士とのキス。
それでも倫は頬を染め、唇を震わせていた。
(しちゃった……。キス。初めて……)
ドキドキが、止まらない。
『俺、昨日とうとうキスしちゃった!』
『マジ!?』
『ど、どんな感じだった?』
『興奮しちゃって、よく覚えてなくってさぁ』
友人との会話が、思い出された。
『でも、最高にハッピーだったよ』
僕は?
今、最高にハッピー?
(それとは、少し違う気がする)
そして、考え付いた。
友達があんなに無邪気に喜んでいたのは、恋人同士でのキスだったからだ。
じゃあ、僕と怜士さまは……?
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