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第八章 かりそめのハッピー
怜士は、動く、といった割には、さほど激しく腰を入れては来なかった。
それでも、倫は際限なく昇り始めている。
堪えてもこらえても、荒く吐き出される息。
「何、これ……、ッすご、い……!」
体内の怜士は熱く、カチカチに硬い。
だのに。
(だのに、何だか優しくって。僕の中に、吸い付いてくるぅ……!)
「うぁ! はぁ、あぁあん!」
「まだまだ、これからだよ?」
元気に精を飛ばした倫に話しかけながら、怜士は考えていた。
(いい具合に絡みついてくる。馴染むのが、早いな)
これなら、充分に楽しめそうだ。
怜士はそう判断すると、今度は倫の中に挿入したペニスを揺するように、動き始めた。
「あぁ! そ、それ、ダメ! あ、くぅッ、あぁ!」
「どうかな。気持ちいいと、感じてくれてるか?」
腸壁ごと揺すられるペニスに、倫は脳まで焼き切れそうだ。
(す、すごい。気持ち、いい……!)
ドキドキするけど、ふわふわしてきて!
「き、気持ちいい、ですぅう!」
「律儀だな。本当に返事をしてくれるとは」
「お腹、に。胸まで、熱いの、こみ上げてきて……ッ!」
ああ。
そして、心まで満たされる。
熱で、頭もいっぱいになって。
怜士さんで、いっぱいになって。
今、この時だけは。
全てを忘れて、倫はその情熱に身をゆだねていた。
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