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「う、うぅ、ん。むむぅ……」 「倫くん。お水、飲む?」  ありがとう、と倫は差し出されたペットボトルの水をごくごくと飲んだ。 「あぁ、美味しい!」 「良かった。目が覚めたね」 「え?」  え? あ? 「ここは……?」 「君の部屋、だよ。怜士さまが、連れてきてくださったんだ」 「怜士さまが?」  何だろう。  覚えていない。  ただ僕は、弾けるように熱い心地を味わって。  それから……。 「君、怜士さまのベッドで、そのまま眠ってしまったそうなんだよ」 「ええっ!?」 『少し遅いな、倫くん』  そう和生がつぶやいた時、部屋のドアがノックされた。 『帰って来たんだな』  立ち上がり、和生はドアへと歩んでそこを開けた。 『遅くなって、すまない』 『怜士さま!?』  立っていたのは、倫を背負った怜士だったのだ。 「倫くんがベッドで眠って起きないものだから。怜士さまは、ここまで送ってくださったんだよ」  そう言って、和生は肩をすくませて笑った。

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