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「今日は、ローズマリーのお茶を淹れてみました」  お二人とも、お疲れでしょうからね、と意味深にウィンクして見せる、和生だ。  ローズマリーは、疲労回復の効用があるハーブだ。  シャープな香りが、いっぱいに広がる。  一口飲んで、怜士は口元をほころばせた。 「ローズマリーにしては癖が無く、飲みやすい。何か、工夫を?」 「はい。紅茶をブレンドしました」 「茶葉は?」 「ニルギリです」 「うん、いいな」  怜士は嬉しそうに、もう一度お茶を口にしている。  ニルギリの持つ意味が解らない倫が和生を見上げると、彼はうなずき言った。 「茶葉の説明は、怜士さまにお願いするといいよ」  それに怜士が反応し、カップから唇を離した。 「そうか。倫、ニルギリは初めてか?」 「はい」  ニルギリは、癖がなく飲みやすいので、他の茶葉とブレンドして飲まれることが多い。  クオリティーシーズンは1月から2月だが、その後に収穫、生産、輸入などの工程を踏まないといけない。 「私たちがこの国で、旬のニルギリを味わえるのは、春先ということになる」。 「そうなんですね」 「だから、今ここでニルギリを出してくれた和生には、感謝だ」  静かにうなずく怜士に、和生は深々と頭を下げた。 (さすが、和生さん!)  倫もまた、怜士にお褒めの言葉をいただいた和生に同調し、自分のことのように嬉しかった。

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