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「怜士さまの、辛いお気持ちは解ります。でも、お酒に逃げていてはダメです」 「これは、手厳しい」  ボトルを怜士から取り上げ、抱え込んでしまった倫だ。  だが怜士は、それを怒ることは無かった。  ただ、口の端を上げて条件を出してきた。 「解った。今夜は、もう飲まない。その代わり」 「その代わり……?」  倫は、心の中で身構えた。 (これはやっぱり、エッチへと誘う流れ!)  正直なところ、少し怖い。  昨夜は、まるで自分が自分でなくなるような、未知の快感に溺れてしまったのだ。  再びそれを味わうとなると、覚悟がいる。  しかし怜士は、倫をベッドへは誘わなかった。 「……膝枕を、してくれないか?」 「えっ」 「連日、呼びつけてすまない。でも、今夜は君を抱くつもりはないから」  ただ……。 「……ただ、ここで。少しの間でいい。膝枕をして欲しいんだ」  その怜士の言葉と表情に、倫の鼻の奥がツンときた。  傷ついて、寂しい。  ただ、それだけの男。  倫の目には、今の怜士がそんな風に映っていた。

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