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 膝に頭を預けたまま眠ってしまった怜士に、倫は微笑みかけた。 「お疲れなんだな、きっと」  それは、もちろん仕事の疲れだろうが、丈士のことでも心が弱ってしまっているに違いない。  しかし、いつまでもこうしてはいられない。  怜士にはちゃんとベッドで眠って、その心身の疲れを癒してもらわなくてはならない。 「それに。ちょっと膝が痺れてきちゃった」  倫は優しく怜士の体を揺すって、声を掛けた。 「怜士さま、起きてください」 「……」 「風邪をひきますよ?」 「……」  困ったことに、これだけでは目を覚ましそうにない、怜士だ。  仕方なく倫は彼の頭の下から、じりじりと慎重に脚を抜き始めた。  首に手を添え、ゆっくりと動いていたつもりだったが、急にその頭が倫の脚の間にごとんと落ちてしまった。 「ぅあ!」 「ごっ、ごめんなさい!」  しかし、怪我の功名。  これで怜士は、ようやく目を開けた。

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