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第十五章 癒しの倫

「ちょうどいい所に間に合ったな」  丈士がバタフライピーにライムを加える、ちょうどその時。  怜士は、急いで椅子に掛けた。 「さぁ、丈士。私に魔法を見せてくれ」 「は、はい」  くし形に切られたライムをつまみ、丈士はお茶にその雫を垂らした。  真っ青だったティーは、見る間に美しい紫色に変わる。  その様子を、この兄弟は感慨深く見つめた。 『すごく綺麗な青ですね、お兄様!』 『このお茶に、ライムを絞ってごらん』 『わぁ! 色が、紫に変わりました!』 『ふふ。面白いだろう?』  幼い頃が、仲の良かったあの日が、甦る。 「きれいですね、とても。すごく、きれいだ……」  溜息をつくような倫の声に、怜士と丈士は我に返った。

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