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激しく愛を交わした後には、優しい時間が訪れる。
濡れた肌を清め、怜士は倫にミネラルウォーターを渡した。
「飲むか?」
「ありがとうございます」
冷たい清水を口にしていると、怜士もまた同じミネラルウォーターを飲んでいる。
「怜士さま。今夜はお酒じゃないんですね?」
「うん。あまり飲むと、倫に叱られるからな」
冗談めかして笑う怜士だったが、倫には解っていた。
(きっと、この後も怜士さまは、お仕事に戻られるんだ)
多忙な中、何とか時間を作って、怜士は倫を求めてきた。
(なぜだろう。倫と過ごすと、心が軽くなる)
重大な事案を抱えて、身も心もずっしりと疲れている。
それを癒すために、怜士は倫を寝室へ呼んだのだ。
セックスに逃げている、と言われればそれまでなのだが、これまでの情夫たちとは違う何かを、怜士は倫に感じていた。
「倫」
「はい。何ですか?」
「私は、君が好きだ」
「ありがとうございます!」
いや、そうじゃなくて、と怜士は口元を手で隠して、続けた。
「倫は、その。私のことが……好きか?」
「えっ」
見ると、怜士は視線を逸らして、顔を赤くしている。
倫の心に、喜びが湧き上がって来た。
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