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「僕。僕……怜士さまのことが、好きです。大好きです!」 「そうか、ありがとう」  ホッとしたように、頬を緩めた怜士だが、まだ何やらもじもじしている。 「つまり、それは、その。……愛。愛している、ということでいいのかな?」  彼の照れくさそうな素振りに、倫の胸ははち切れそうになった。 (怜士さま……。かッ、可愛い!)  瞼をぎゅっと閉じて、爆発しそうな歓喜を抑え、倫はていねいに大切な言葉を贈った。 「はい。僕は、怜士さまを愛してます」  嬉しそうに、ぱっと表情を輝かせる怜士が、さらに可愛い。  長い腕で倫を抱き寄せ、彼もまた宣誓した。 「ありがとう。私も、倫を愛しているよ」  不思議だな、と怜士はつぶやいた。 「出会ってから、まだ三日しか経っていないのに。こんなにも君に惹かれるなんて」 「僕は、ずっと前から怜士さまが好きでしたよ」 「前から? どこかで、私は君に会っていたかな?」  それは、と倫は言葉を選んだ。 「そのようなものです。後日、落ち着いてから、詳しくお話しします」 「そうか」  微笑み合い、二人は深い口づけを交わした。 「私は、勤務に戻るよ。倫は、好きなだけここに居ていい」 「はい。いってらっしゃい」  衣服を整えながら、怜士は笑みが収まらなかった。 (いってらっしゃい、か。何て素敵な響きなんだろう!)  この次は、おかえりなさい、と言ってもらいたい、との願望が生まれて育つには、さほど時間はかからなかった。

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