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第十九章 君に甘えたくなって

「和生に連絡して、了承を得た。明日は、仕事を休んでもいいそうだ」  自室に入るなり、電話をかけていた怜士は、通話を終えるとこう言った。 「すみません。でも、僕はお酒を飲んではいないので、二日酔いの心配はないんですけど」 「いや。実は、倫にお願いがあって」  明日の一日、姉・彩華の息子である光希の傍にいてあげて欲しい、と怜士は持ち掛けた。 「両親の離婚に、転居。5歳の子には、酷だと思うんだ。倫に、彼の友人になって欲しい」 「僕が、光希くんのお友達に」 「この屋敷で、彼に一番年が近いのは、倫だ。きっと、心を開いてくれると思う」 「はい」  そうはいっても、5歳と18歳とでは、その年齢は13も違う。 (でも。光希くんは、ずいぶん大人びてたし) 『お母様とお父様との間には、僕が生まれる前から愛は無かったのです』  こんなハードなことを、平然と言ってのけた、5歳児。  倫は、逆に不安になってきた。 (大丈夫かな。僕に、光希くんの相手が務まるかなぁ)  彼の不安を感じ取ったのか、怜士はその肩に手を乗せた。

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