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「いつもの倫でいてくれればいいんだ。難しく考えることは、ない」 「はい。ありがとうございます」  そしてそのまま、怜士はその手で倫の頬に触れた。  顔を寄せ、口づけを交わすと、倫の体は敏感にアルコールの芳香を感じ取った。  怜士に残る、美酒の味わい。 「僕、酔っちゃいそうです……」 「それは困るな。明日は一日、光希と一緒なんだ」  今夜は、ゆるりと過ごそう。  そう言って怜士は、隣のバスルームへと倫をいざなった。  脱衣室でスーツを解く怜士の隣で、倫はどぎまぎと落ち着かない。 「あの、怜士さま? まさか、僕も一緒に……?」 「そうだとも。さ、君も準備をして」 「でも! 二人でバスを使うと、狭いですよ!? 良かったら、怜士さん一人でゆっくりと……」 「大丈夫。それに、私は少々酔っているんだ。バスで転倒しないか、見張っていて欲しい」  もっともらしい理屈をこねて、怜士は倫を素裸にすると浴室へと押し込んでしまった。

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