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「何か、不安なことが?」
「やはり聡いね、倫は」
怜士は、素直に倫へ打ち明けた。
「不安だらけ、なんだよ。独り言と思って、聞き流して欲しい」
彩華親子の、今後の事。
丈士の、将来。
何かと挑発行為を繰り返す、隣国の事。
そして……。
「倫。私と君とのことだ」
倫は、自分を抱く怜士の腕に、そっと触れた。
「先ほどの言葉通り、君には私のパートナーとして、傍にいて欲しい」
「怜士さま……」
「しかし、君の御両親が。相羽家の皆様が、賛成してくださるかどうか」
丈士が独断で行ったとはいえ、北白川家は、相羽家を糾弾して爵位を剥奪したのだ。
その事件で、敵視されていることを、怜士は恐れていた。
(そういえば。この世界での僕のお父さんとお母さんは、生きているんだ)
それは、奇妙な感覚だった。
相羽男爵。
その人と、その妻は、どんな方なんだろう?
「倫。近いうちに、ご両親に私を紹介してくれないだろうか?」
「え? は、はい。もちろんです」
いい返事は寄こしたが、倫はこの本の中の世界での、自宅の場所すら知らない。
後で調べておこう、などと思いながら、怜士と共にバスタブから上がった。
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