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『それで。お姉様は、これからどうなさるおつもりなんです? お住まいは? お父様のお屋敷に、厄介になられるんですか?』
不用意に、彩華と光希の立場を貶めるような言葉を発してしまった。
「厄介になる、だなんて。もともと北白川は、お姉様の家なのに」
『すでに着工に入っている、ですって? では、お姉様は、正式に離婚なさる前から、着々とその準備をなさっていたのですか!』
何が原因で、姉が離婚したのかは、まだはっきりと知らされてはいない。
しかし、彼女にはそれなりの、そうする理由があったはずなのだ。
二日酔いと自己嫌悪に苦しみ、唸っている丈士の耳に、ドアをノックする音が聞こえた。
「どうぞ……」
彼の弱弱しい返事の後に、そっと室内に入って来たのは、倫だった。
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