「丈士さま。具合はいかがですか？」 「倫か。どうもこうも、参っている……」 　ベッドサイドには、全く手の付けられていない朝食のトレイが、そのままにある。 　やっぱり、と倫は眉根を寄せた。 「食欲も無いんですね？　ハーブティーを、お持ちしました」 「いや、今は何も口にしたくない……」 「ペパーミントの、温かいお茶です。二日酔いに、効果があるんですよ」 「本当か？　この苦しみが、少しでも和らぐのなら……」 　ペパーミントには、胃腸や肝臓の働きを整える効用がある。 　疲れた胃を癒し、吐き気や胃もたれを改善してくれるのだ。 　爽やかなメントールの香りで、気分もすっきりするので、酔い冷ましにはありがたい。 　丈士は倫の見守る中お茶をゆっくりいただき、ようやく人心地着くことができた。