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「ありがとう。少し、楽になった」 「良かった!」  それはそうと、と丈士は探るような目を倫に向けた。 「君はモーニングを、彩華お姉様や、怜士お兄様とご一緒したのか?」 「はい」 「……二人は、私のことを何か言っていただろうか」 「お二人とも、丈士さまを心配しておいででしたよ」  そうかなぁ、と丈士は疑いのまなざしを寄こした。 「下戸のくせに深酒するから、などと笑っていたのでは?」 「全く。丈士さまったら、相変わらずの思考回路ですね」  そこで倫は、彩華と怜士の会話を略さずに伝えた。 『……丈士さんは、どうしたの? 彼も、ここに泊ったんでしょう?』 『丈士は、少し体調がすぐれないらしくて。個室で朝食を摂りたい、と』 『二日酔い、ね。あまりお酒には強くないのに、無茶して飲むからよ。大丈夫かしら』 『そう、おっしゃらないでやってください。丈士は、お姉様と久々にお会いできて、嬉しかったのです』  それを聞いて、丈士はうつむいた。  倫は、その姿に少し不安になった。 (あれ……? 僕、何か余計なこと、言っちゃったかな?)  しかし、丈士の口元は、ほころんだのだ。

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