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第二十一章 オリーブとハト
これまでの自分から、生まれ変わる決意を固めた、丈士。
倫の手を握るその力は、頼もしい。
しかし彼は、突然パッと手を離した。
「失礼! 君には、怜士お兄様という大切な人がいるというのに!」
「いえ、あの。今のは、握手、ということで!」
この場にいない怜士に遠慮する丈士だが、もう今までのように、うろたえたりはしなかった。
まだぎこちないが、はにかんだような笑顔。
そして、これまた今までには無かった質問を、倫に投げかけてきた。
「お兄様は……君にどんな風に、愛情表現をするんだい?」
「えっと。手を握るよりは、髪や頬に触れたりなさいます。あと、肩に手を置いて、励ましてくださったり」
なるほど、と丈士はやけに真顔で聞いている。
「それから?」
「え? えっとぉ……」
これは、それ以上のスキンシップのことを。
(エッチのやり方、とかを訊いてらっしゃるのかな!?)
赤くなって視線を泳がせる倫に、丈士は我に返った。
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