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「では、手紙を書こうかな。肉筆で、心を込めて」
「それは良い考えです!」
書き上げた手紙は、折を見て倫から怜士に渡して欲しい、と丈士はお願いした。
「そして、お兄様からお姉様へと、渡していただこう」
「はい」
本当に、丈士は変わったのだな、と倫は改めて思った。
以前の彼ならば、怜士が手紙を開封し、中身を見るかもしれない、などと猜疑心を抱くところだ。
今から手紙をしたため、午後には父の屋敷へ戻る、との丈士にいったん別れを告げ、倫は彼の部屋を後にした。
怜士の部屋へと戻った倫は、真っ先に弟を案じる兄の声を聞いた。
「丈士の具合は、どうだった? 重篤なら、医師を寄こすが……」
「いいえ。もう、大丈夫です。丈士さまは、すっかり元気になられました!」
元気になって、しかも生まれ変わった。
そんな倫の報告に、怜士は不思議そうな顔をしていたが、その詳しい内容を知るうちに、瞼を閉じて小さく何度もうなずいた。
「そうか。丈士が……。嬉しい。本当に、嬉しいよ……」
私の愛する、倫。
「君は、平和をもたらす白いハトなのだな。希望という名のオリーブをくわえて、やって来たのだな」
怜士は、優しく倫を抱きしめた。
倫もまた、そんな怜士の体に腕を回して応えた。
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