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「光希くんは、これから何かやってみたいことは、ありますか?」 「まずは倫さんに、ていねい過ぎる言葉をやめて欲しい、と思います」  やってみたいことはありますか? ではなく、やってみたいことはある? と、いう風に。 「僕はまだまだ、子どもです。倫さんの方が年上なので、もっとフランクに話してください」  この申し出に、倫は驚いた。 (ホントに光希くん、5歳なのかな!?)  彼の周囲の大人たちがざわめいているので気が引けたが、倫は思いきって言ってみた。 「じゃあ、光希くん。君も、僕にタメ口で話してくれる?」 「タメ口?」 「同じように、フランクに、って意味だよ。光希くんがそうするなら、僕も対等に話すよ」 「え!? えっと……」 「兄弟みたいに、仲良くしよう」  それを聞いて、光希の瞳は嬉しそうに輝いた。 「はい! 倫さん!」 「はい、じゃなくって、うん、だよ」 「うん!」  倫と光希の距離は、これでぐんと縮まった。  二人はソファに掛け、今後の予定を決めることにした。

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