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「倫さんは、普段このお屋敷で何をしてるの?」 「僕は、ハーブガーデンで働いているよ。それから、怜士さまの10時のお茶のお供」 「怜士おじさま、かぁ」  光希は、昨晩は驚いた、と語った。 「前にお会いした時は、怖そうな人だと感じたんだよ。だけど、すごく優しくなってらした」 「僕も、初対面の時はクールな方だと思ったよ」  でも本当は、優しくて、情の深い人だった。  そう言う倫の表情も、甘く豊かにほころんでいる。  そんな様子を見て、光希は少し瞼を伏せた。 「いいな、怜士おじさまと倫さんは。二人は、愛し合ってるんでしょう? だから、結婚するんでしょう?」 「え!? まぁ、そうかな……」  倫は、昨日の食事会での会話を思い出していた。 『相羽さんは、怜士さんとお付き合いなさっているのかしら?』 『え!? あ、それは。その……』 『ゆくゆくは、結婚を視野に入れて、お付き合いしたいと考えています』 『れ、怜士さん!?』  正式ではないが、怜士はハッキリと結婚の意思を示したのだ。  もちろん倫も、彼の申し出を喜んで受けた。  それを、光希は尊いものに感じていた。

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