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 もともと、異文化に興味関心があった、と怜士は語る。 「海外に赴き、文化や習慣の違いや、考え方や価値観の違いを理解したかったんだ」 「それは、大切なことですね」 「うん。外交を行うのなら、その上で、と思っていた」  だが実際は、父親の命ずるままに国境を守る侯爵となってしまった。 「彩華お姉様は、海外を飛び周り、見聞を深めるという私の夢を、覚えてらしたんだよ」 「じゃあ、怜士さまは子どもの頃から旅人になりたいと?」 「そうなんだ。自分でも、忘れかけていた」  その夢の扉を、倫がノックし、彩華が開けた。 『留守はわたくしと丈士さんに任せて、怜士さんは相羽さんと一緒に自由になりなさい!』  固く凍り付いた怜士の心を倫が溶かし、彩華はその夢に翼を与えたのだ。  みんなで楽しくお茶会をした後に、姉はそのような計らいを弟に提案していた。  疲れ果て、心をすり減らしている怜士の前に、愛する倫が現れた。  弟を救えるのは、彼しかいない。  そう判断しての、彩華の思いだった。

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