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『解ったわ。後は任せなさい』
「さすがは、お姉様」
『あなたの死は、無駄にはしない。でも、でもね。最後まであきらめないで!』
「はい……」
力尽きるように通話を終え、怜士はだらりと腕を下ろした。
「怜士さん、お疲れ様」
「倫。私は、がんばったよ……」
少し動くだけでも、ひどく痛む怜士の体だ。
(内臓を、傷つけたな……)
彩華と話しながらも、喉に血がせり上がってきていた。
吐けば、姉や倫を心配させる。
その一心で、こみ上げる血を呑み込みながら、振舞っていたのだ。
そんな怜士に、倫は手を差し伸べた。
もう、ほとんど動けない怜士の方へ、体を乗り出した。
あと、少し。
ああ、でも、届かない。
神様、もうちょっとだけ……。
二人は優しく微笑み合い、手を握った。
指と指を絡ませ、しっかりと一つになった。
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