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第15話 一緒に暮らそうよ(R18
案内された部屋は、広くて窓からの景色も素晴らしく、そして寝室はダブルだった。
ヤギが寝室をのぞき込んだあと、こちらを睨む。思わず滝汗で顔をそらした。
「これ、なんで? ダブルベッドじゃん! 」
「ごめん、今日、ツインが空いてなかった。変なことしないから! 」
「もう! なんだよ、先に言えよ。」
先に言えば許してくれるの? いや、怒るだろ。
「外国人多かっただろ? インバウンドでなかなか空いてないんだ。」
「もう、仕方ないなあ。」
「まあまあ、着替えて風呂行こう。ここの風呂いいんだぞ~」
と言うわけで、浴衣に着替えて風呂に行こうとなった。
ヤギが早速、浴衣を棚から取り出し畳に揃える。
「わ、張りがあって、なんて上等の浴衣だろう。帯も洒落てるよ。ほら、羽織もステキだ。」
「着物のことは良くわかんねえなあ。」
そして俺は、浴衣の着方が良くわからない。
洋服を脱ぐと、サッとヤギが受け取り、ブラシをかけて洋服掛けに直して行く。
プッと思わず吹き出した。
「お前、奥さんかよ。」
「だってさ、お前の服上等じゃん。俺の服もオーナーにもらったものだから、大事にしないと。」
テキトーに羽織って、帯をグルグル巻く。
わからん、わからん、どうするんだこれ。
ヤギはさっさと着替えて、向こう向いて浴衣を羽織る。
うわ〜、エロい。なんだろ、後ろ向いてるから余計エロい。
シュッシュッ、
いい音させて、帯を巻き、サッと結んだ。
「え〜〜、着付け早い。お前、そう言えば別荘じゃ浴衣着てたよなあ。
おじさんが着付けしてるのかと思った。」
「父さんも自分で着てたよ。僕は父さんから習ったんだ。」
「へえ、つまり、着物を普段から着てたのか。
こう言うとこ、育ちが出るよな。男で浴衣きちんと着れる奴って、少ないだろ、なんか凄いな。」
「凄くないよ。普通に着てただけ。
あー、何だよ着れてないじゃん。ミツミ、手、横に上げて。」
「いいよ、どうせ風呂ですぐ脱ぐんだし。」
「また着るとき直してやるよ。」
そう言って、帯を解いて浴衣を直す手際がいい。
腰紐を結んで後ろに回ると、後ろから抱きつくように帯を巻いてキュッと締め、結んでポンと帯を叩いた。
「はい出来た、風呂行こ。」
タオルと替えを持って、備え付けの草履を履いて部屋を出る。
裸足にひんやりして、ヤギがひどく喜んでいた。
大浴場どこだっけ? というヤギに、違う方向を指さした。
「こっちの家族風呂行こう。ここも関わったんだ。メチャ景色がいい。」
「あ〜〜、家族風呂って二人っきりじゃん。エッチなことすんなよ~」
「するか、馬鹿! 」
クスクス笑って、振り向いた。
「ミツミなら、いたずらしてもいいよ。」
「え? えーーっ!! 」
ヤギはさっさと空いてるの確認して入って行く。
いたずらって、いたずらって、一体何なんだ? いたずらって、キスの向こう側…… ?
「ミツミ! 何してんのっ?! 」
「は、はいっ! 」
中から呼ばれて、慌てて入っていく。
心臓が、ドキドキ早鐘を打つ。
あああー、チンチン静まれ、立つなー
俺は禅をする僧のような顔で、ヨシと心を落ち着けて中に入っていった。
「先行ってるよ。」
更衣所で脱いで、さっさとヤギが風呂に入る。
綺麗な自慢の風呂だ。きっと満足してくれるだろうと思ったのに……
入るとヤギは、横で湯を浴びて、先に髪を洗い始めた。
俺は入るとすぐに内風呂の湯船からバッシャバッシャ浴びて、ドボンと浸かる。
「なんで先に洗ってんの? 寒いだろ? 」
「いいの! 」
じいっと見てると、視線を感じるのかジロリと睨まれた。
「いいからあっち向いてよ。」
「なあなあ、さっさと入れよ~」
バシャバシャバシャ
風呂のヘリに手を置いて、バタ足始めた。
「こらこら! 風呂で泳ぐな! 」
「泳いでないもんよ~ 」
「いいから見るなって、恥ずかしいだろ。」
「なーー、早く暖まって外でようぜ。」
「 外? 」
風呂を上がってシャワー持つと、ジャーーっとヤギの頭にかける。
そんな事より、見せたいものがあるんだってば!
「まだ洗ってる途中だって! 」
「いいから、はよ行こうって。」
泡がヤギの痩せた身体を流れ、髪が身体に張り付く。
シャワーをかけながら、呆然と見つめる。
ヤギが髪をかき上げて、ペチンと俺の足を叩いた。
「もう! 4日風呂に入ってないんだよっ! 」
「え?! うそ。」
「風呂代高いから、普段は水で身体拭くだけなんだ。お前、気がつかないだろうけど、俺って汚いんだよ。」
「いや~、お前は綺麗だよ。
そっか、それで洗って入りたいんだな。」
「だって、後で入る人のこと考えなきゃ。」
タオル畳んでボディーソープ付けるヤギから、タオルを取り上げる。
そしてゴシゴシ、ヤギの背中を洗い始めた。
「だからさー、うちに来いって。
いいじゃないか、1人って寂しいから一緒に暮らしてくれれば助かるって。」
「でも、お休みだって合わないし、料理も出来ない。掃除しか出来ない。」
「掃除出来れば十分だよ、俺が飯は作る。」
うつむいて、だんまり決め込むヤギの足をクルリと回し、正面を向かせる。
「また泣いてる~ 」
「お前が泣かしたー 」
ガシガシ首洗って、腕を取って洗う。
「うっ、うっ、痛い、ひっく、ひっく、いたーーい! 」
「ガリガリじゃねえか。俺が美味いもの作って、もっと太らせてやるから。」
お腹洗って、下腹部飛ばして足を持ち上げ洗い始める。
ガリガリの身体を洗ってると、ちょっと悲しくなってくる。
こいつがこんなに苦しんだのは、詐欺した会社が悪い。
でも、そこに就職してきっかけ作ったのは自分なんだ。
俺は、俺はこいつのために何が出来るんだろう。
いいや、違う。そんな事じゃない。そんな甘いこと言ってる余裕は無い。
俺は、こいつのために出来ることをやるんだ。
「美里」
ヤギの涙を指で拭いて、肩に手を回し、股間にギュッとタオルを絞って泡を落した。
「洗って、いい?」
耳に囁いて見つめていると、ヤギが俺の首に手を回す。
そして頬にキスをした。
「いたずらして、 いいよ。」
抱きしめて泡に手を差し入れる。
ヤギのペニスをヌルヌルと撫で、恥ずかしさに交差する足のあわいに手を差し込み、思わず引いてゆく腰を追いかけた。
「あっ、んあっ! やだ、やだやっぱり…… あっ! 」
椅子から滑り落ち、床で合わせようとする足の間に膝を入れると、震えるようにそっと開く。
「美里、好きだ。」
「ミツミ 」
「ヤギ、ああ、美里 」
名を呼ぶと、涙をうるませ首を振る。
「嫌だ、ヤギって呼んでよ、ミツミ。」
「なんで? 」
「あいつが…… あいつが…… 怖い。」
「あんな奴、消してしまえ。」
声も無く吐息が漏れ、濡れた唇に誘われる。
ミツミはその唇に、むさぼるように唇を落とし、舌を差し入れた。
「うぐっ、 んっ 」
ぐちゅっ、チュッ、ぐちゅっちゅっ、
ざらりと舌を舐め、絡ませて、口の中を蹂躙する。
ミツミの太い舌が、軟体動物のように荒々しくヤギの口の中をなめ回した。
「うぐっ! うっ! 」
舌がグルグルとうごめき、喉の奥まで差し入れる。グッと舌を吸われ、ヤギがえずいた。
あまりの激しさに、腕を突っ張り抵抗する。
それでも興奮したミツミは、我を忘れてヤギを求めてきた。
ぐいぐいとヤギの細い足の間に足をいれ、股間を膝で押す。
「うぐっ! み、ミツミ! 待っ…… 」
「美里、美里、美里! 」
ヌメヌメと石けんで滑る足を絡ませて二人、浴室の床にからみ合う。
興奮したミツミが、ヤギの足を広げ、腰を持ち上げると初めてヤギが叫んだ。
「 いや、イヤッ! 待って! イヤッ! 怖い! 怖いっ!! 」
泣き叫ぶ声に、我に返ってミツミが顔を上げた。
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