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第20話 運動、する?(R18
大浴場は広い風呂が開放感に満ちて気持ちいい。
ライトアップされた庭の見える露天風呂は、ひんやりした空気が肌に心地良く、ジャグジーで遊んで、打たせ湯で背中真っ赤にして、男2人で妙にはしゃいでしまった。
風呂から上がってフロアにある畳の椅子に座ってくつろいでると、後ろからミツミが引っ張る。
「これやろう! 卓球、有るじゃん! 」
「あー、お前卓球部だったよなー、俺ド素人なんですけど~」
「まあまあ、トローい球に付き合ってやるよ。」
コンコン コン コンコン
途切れ途切れで、球のやりとりが続く。
ゆるくて打ちやすい球をミツミが送り、ヤギが精一杯それを返す。
子供がそれを見に来て、ヘトヘトのヤギと変わった。
今度は子供のお父さんが来て、元卓球部らしく、白熱したラリーが続く。
「ミツミ、頑張れ! 」
「お父さん頑張れ! 」
コンコン コンコン コンコン
小気味良い音にギャラリーが集まり、だんだん戦いが白熱してくる。
「ミツミ! カッコいい! 」
「え? 」
ミツミが真っ赤になって、球を受け損ねた。
「あーー、負けちゃった。」
「ねえねえ、」
子供が横から、ヤギのお尻を叩く。
「お兄ちゃん? それともお姉ちゃん? 」
「え? 俺? 俺はお兄ちゃんだなー」
「えーー、ふうん、お母さん、お兄ちゃんだってー 」
お母さんが、赤い顔してすいませんとお辞儀する。
「あはははは! わかんないか〜 」
ヤギがミツミと腕組んであとにする。
「お姉ちゃんのお兄ちゃんバイバイ! 」
苦笑いで2人でバイバイと手を上げた。
「子供に女と間違えられた。くっそ、髪切ろう。」
「まあまあ、子供ですから。
それに、 今の方が、色っぽくて俺は好きだな。」
ポッとヤギが赤くなる。
髪は伸ばそう。うん。
「あー、久しぶりで気持ちよかった。
おっ、牛乳の自販機だ。マジか、フルーツ牛乳がある! 」
「ほんとだー! 小銭ある? 」
「あるある! 」
2人でフルーツ牛乳飲んで、
部屋に戻ると、一息ついてミツミが浴衣をはだけてパタパタあおいだ。
「あーー、あっつい。 身体冷まして寝るかー 」
「風呂上がりに運動なんかするからだよ。」
2人の半纏を掛けて、ヤギが横に座った。
もたれて来てミツミが、おお? っと思わず顔を引く。
「どしたの? 」
聞かれて、ヤギが上目遣いで見つめて、目をそらした。
「もうちょっと運動、する? 」
「えっ? 何の運動? 」
鈍い反応に、フッとため息吐いて、パンッと何か手渡した。
見ると、新品のチューブだ。
「え? なに? え? ローション? どっか塗るの? 」
勇気出して言ったのに、何だよこの男は!
「塗るのはお前のチンチンだよ! 」
「え~~?? えーーーー !! 」
えーの2段活用が来た。
「だって、怖いって言ったじゃん。」
「さっきはお前がオオカミだったから。
僕、あんな乱暴にされると、あいつが浮かんで来ちゃうんだ。
凄く怖いんだよ、わかるだろ?
ねえ、最後までさ、ちゃんと優しいミツミでいてよ。」
大きくミツミが深呼吸して、飲み込んだ。
「うん、」
「部屋のシャワー、お湯出たし、あとは、初めてエッチする時はコンドーム使って、バスタオル敷けって店の姉さんに言われたけど、ゴムまで買えなかった。
ミツミ、持ってる? 」
「ごめん、いっぱい持ってきた。」
バッグから一箱取り出す。
ヤギが引きつった笑い浮かべた。
「ヤリまくる気満々かよ。お前初めて? 」
「ごめん、男女、大学同級生各1名。」
「なんだよ! 俺一途じゃ無いじゃん!
だまされたっ! 」
「ごめん、女は学生の時、飲み会で酔った勢い。
でも彼女、もう結婚したから!
男はゲイの友達、失恋で泣いてたの慰めてたらつい。
そっちに行っちゃった。
あっ、でもその子、より戻してその後会ってないから! 」
「は~~ 」
ほんと馬鹿正直なんだから。
初めてだよって言えば、僕は、そう、で終わるのに。
困った人。優しすぎて、それじゃ怒れないじゃん。
ヤギが、ミツミに抱きつきキスをした。
「困った人だね、君はいつだって泣いてる人を放って置けない。
でも、これからは僕がいる事忘れないで。」
「うん、わかったよ。お前もさ、俺を置いて、消えたりするなよ。」
「うん、お互いね。,ね、ベッドに行こうか。」
「そうだな。」
ヤギがちょっと、顔をそらして流し目を送る。
ミツミが、赤い顔で小さく首を振って抱き返してきた。
「ヤバい、もう立ってきた。」
「早すぎ〜、オオカミミツミはやだよ。」
「わかってる、わかってる。…… うん、大丈夫、ちょっと落ち着いた。」
ヤギが笑って、立ち上がるとミツミの手を引く。
2人、腕を組んで寝室へと向かった。
お布団汚さないように準備して、2人でベッドに入る。
身体温まって暑いので、掛け布団を足下に畳んだ。
「ほんとは怖いんだろ? 怖い時は怖いって言うんだぞ? 」
「うん、でも今はミツミが僕の心いっぱいになってるから、大丈夫と思うんだ。」
「うれしいこと言ってくれる。」
ヤギがベッドに座って帯を解いていると、裸でベッドに上がりながらミツミが解く手を握って止め、ヤギの身体を優しく横たえる。
「なんか、恥ずかし。僕ら、友達なのに。」
「恋人に格上げだからさ。セックス、無理しなくてもいいんだぞ? 」
「そんなこと …… 僕が、したいんだ。」
恥ずかしそうに、目をそらす。
ミツミが笑って、帯を抜いて浴衣をそっと開き、覆い被さると、抱きしめて首筋の匂いを嗅いだ。
「可愛いよ、美里。いい、温泉の香りがする。」
「良かった、お風呂のあとで。」
「4日お風呂入ってなかったから? 」
「もう! 意地悪だね。」
「ローション、買って来たんだ? 」
「んーん、そんな雰囲気になったらどうしようって。
痛いのいやだし、店の姉さんに聞いたんだよ。そしたらローションくれた。
僕はさ、今まで恋とか愛なんて考えるヒマがなかったんだ。
でも、君に再会して、なんか気持ちが…… 」
ミツミがヤギの口を塞ぐ。
抱きしめてヤギの身体を持ち上げると、浴衣の袖から腕を抜いてベッドの横に落した。
チュッ、くちゅ、チュッ
「ん…… ぅ…… 」
ミツミが、ヤギの口に舌を差し入れ、ザラリと舌を舐め、絡め合った。
熱い、軟体生物のように、ミツミの舌とヤギの舌がやっと、この時を待っていたように求め合う。
ヤギの口の中を犯しながら、胸を合わせ、肩から背中を撫でて愛撫する。
薄く目を開けると、息継ぎに必死で鼻で息をするヤギが可愛い。
痩せた身体がゴツゴツと手に触れ、ああとミツミが吐息を漏らして首筋から胸元を舐めた。
「やだ、やっぱり恥ずかしい。だって、普通の友達だったのに。」
「可愛いよ、美里。そう言うとこが可愛い。」
乳首を口に含み、舌で転がすと身じろぎする。
「ん、ん、や、はあ、はあ、やだ、ああ、やだ、恥ずかしい。」
「はずかしい、はずかし〜い、美里ちゃん、いいね〜 」
「もう! ん、あっ! やだ、 」
チュッと吸うと、ビクンと跳ね上がる。
反応が可愛い。
「ねえ、ねえ、もう一回、あ、はあ、はあ、キスして。」
「いいよ。何度でも。」
見つめ合って、美里が目を細める。
ミツミの頬を撫で、ミツミも美里の頬を撫でる。
「愛してる。愛してるよ、美里。」
「もっと、言って、何度でも。」
「美里、美里、愛してるよ。」
耳元に囁くように告げて、耳たぶを口に含む。
ミツミの低い声に、美里の背中がゾクゾクと震えた。
口づけして、チュッと唇を吸う。
「ふふっ、唇って、柔らかいんだな。」
「そうだろ? それにフルーツ牛乳の味がする。」
「ほんとだ! 」
ミツミの唇が、頬に移り、そして首筋を辿る。
耳元で香りをかぎながら、また囁いた。
「美里の身体を、愛してもいい? 」
「いいよミツミ、僕の身体、あなたにあげる。
優しく、やさしくして。」
「優しくするよ、だから、美里。2人の時は健人って呼んでよ。」
ククッと美里が笑って、首から胸元に下りてきた健人の頭を抱きしめた。
「大好きだよ、愛してる、健人。」
ふと、顔を上げて健人が笑った。
「やっと言ったな、こいつ。やっと。
やっと、お前の言葉が聞けた。」
微笑む美里に狂おしい顔で口づけをする。
頬に、ひたいにキスをして、もう一度口づけする。
「健人、健人ってば、あっ、ん、は、」
首筋から、胸元、舌で辿り、キスをして、跡を残して行く。
チュッ、 チュッ、
「や、だ、あとが、残っちゃうよ。」
「残してんの。」
「もう! やだよ。 恥ずかしくてお風呂に行けなくなっちゃう。」
「いいじゃない、僕らエッチしました! って。」
恥ずかしそうに閉じる足に膝を割り入れ、なめらかに肌を優しく愛撫する。
頬を赤く染めて時々顔を振る美里を、健人はゆっくりと、優しく愛した。
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