20 / 33

第20話 運動、する?(R18

大浴場は広い風呂が開放感に満ちて気持ちいい。 ライトアップされた庭の見える露天風呂は、ひんやりした空気が肌に心地良く、ジャグジーで遊んで、打たせ湯で背中真っ赤にして、男2人で妙にはしゃいでしまった。 風呂から上がってフロアにある畳の椅子に座ってくつろいでると、後ろからミツミが引っ張る。 「これやろう! 卓球、有るじゃん! 」 「あー、お前卓球部だったよなー、俺ド素人なんですけど~」 「まあまあ、トローい球に付き合ってやるよ。」 コンコン  コン  コンコン 途切れ途切れで、球のやりとりが続く。 ゆるくて打ちやすい球をミツミが送り、ヤギが精一杯それを返す。 子供がそれを見に来て、ヘトヘトのヤギと変わった。 今度は子供のお父さんが来て、元卓球部らしく、白熱したラリーが続く。 「ミツミ、頑張れ! 」 「お父さん頑張れ! 」 コンコン コンコン コンコン 小気味良い音にギャラリーが集まり、だんだん戦いが白熱してくる。 「ミツミ! カッコいい! 」 「え? 」 ミツミが真っ赤になって、球を受け損ねた。 「あーー、負けちゃった。」 「ねえねえ、」 子供が横から、ヤギのお尻を叩く。 「お兄ちゃん? それともお姉ちゃん? 」 「え? 俺? 俺はお兄ちゃんだなー」 「えーー、ふうん、お母さん、お兄ちゃんだってー 」 お母さんが、赤い顔してすいませんとお辞儀する。 「あはははは! わかんないか〜 」 ヤギがミツミと腕組んであとにする。 「お姉ちゃんのお兄ちゃんバイバイ! 」 苦笑いで2人でバイバイと手を上げた。 「子供に女と間違えられた。くっそ、髪切ろう。」 「まあまあ、子供ですから。 それに、 今の方が、色っぽくて俺は好きだな。」 ポッとヤギが赤くなる。 髪は伸ばそう。うん。 「あー、久しぶりで気持ちよかった。 おっ、牛乳の自販機だ。マジか、フルーツ牛乳がある! 」 「ほんとだー! 小銭ある? 」 「あるある! 」 2人でフルーツ牛乳飲んで、 部屋に戻ると、一息ついてミツミが浴衣をはだけてパタパタあおいだ。 「あーー、あっつい。 身体冷まして寝るかー 」 「風呂上がりに運動なんかするからだよ。」 2人の半纏を掛けて、ヤギが横に座った。 もたれて来てミツミが、おお? っと思わず顔を引く。 「どしたの? 」 聞かれて、ヤギが上目遣いで見つめて、目をそらした。 「もうちょっと運動、する? 」 「えっ? 何の運動? 」 鈍い反応に、フッとため息吐いて、パンッと何か手渡した。 見ると、新品のチューブだ。 「え? なに? え? ローション? どっか塗るの? 」 勇気出して言ったのに、何だよこの男は! 「塗るのはお前のチンチンだよ! 」 「え~~??  えーーーー !! 」 えーの2段活用が来た。 「だって、怖いって言ったじゃん。」 「さっきはお前がオオカミだったから。 僕、あんな乱暴にされると、あいつが浮かんで来ちゃうんだ。 凄く怖いんだよ、わかるだろ?  ねえ、最後までさ、ちゃんと優しいミツミでいてよ。」 大きくミツミが深呼吸して、飲み込んだ。 「うん、」 「部屋のシャワー、お湯出たし、あとは、初めてエッチする時はコンドーム使って、バスタオル敷けって店の姉さんに言われたけど、ゴムまで買えなかった。 ミツミ、持ってる? 」 「ごめん、いっぱい持ってきた。」 バッグから一箱取り出す。 ヤギが引きつった笑い浮かべた。 「ヤリまくる気満々かよ。お前初めて? 」 「ごめん、男女、大学同級生各1名。」 「なんだよ! 俺一途じゃ無いじゃん!  だまされたっ! 」 「ごめん、女は学生の時、飲み会で酔った勢い。 でも彼女、もう結婚したから! 男はゲイの友達、失恋で泣いてたの慰めてたらつい。 そっちに行っちゃった。 あっ、でもその子、より戻してその後会ってないから! 」 「は~~ 」 ほんと馬鹿正直なんだから。 初めてだよって言えば、僕は、そう、で終わるのに。 困った人。優しすぎて、それじゃ怒れないじゃん。 ヤギが、ミツミに抱きつきキスをした。 「困った人だね、君はいつだって泣いてる人を放って置けない。 でも、これからは僕がいる事忘れないで。」 「うん、わかったよ。お前もさ、俺を置いて、消えたりするなよ。」 「うん、お互いね。,ね、ベッドに行こうか。」 「そうだな。」 ヤギがちょっと、顔をそらして流し目を送る。 ミツミが、赤い顔で小さく首を振って抱き返してきた。 「ヤバい、もう立ってきた。」 「早すぎ〜、オオカミミツミはやだよ。」 「わかってる、わかってる。…… うん、大丈夫、ちょっと落ち着いた。」 ヤギが笑って、立ち上がるとミツミの手を引く。 2人、腕を組んで寝室へと向かった。   お布団汚さないように準備して、2人でベッドに入る。 身体温まって暑いので、掛け布団を足下に畳んだ。 「ほんとは怖いんだろ? 怖い時は怖いって言うんだぞ? 」 「うん、でも今はミツミが僕の心いっぱいになってるから、大丈夫と思うんだ。」 「うれしいこと言ってくれる。」 ヤギがベッドに座って帯を解いていると、裸でベッドに上がりながらミツミが解く手を握って止め、ヤギの身体を優しく横たえる。 「なんか、恥ずかし。僕ら、友達なのに。」 「恋人に格上げだからさ。セックス、無理しなくてもいいんだぞ? 」 「そんなこと …… 僕が、したいんだ。」 恥ずかしそうに、目をそらす。 ミツミが笑って、帯を抜いて浴衣をそっと開き、覆い被さると、抱きしめて首筋の匂いを嗅いだ。 「可愛いよ、美里。いい、温泉の香りがする。」 「良かった、お風呂のあとで。」 「4日お風呂入ってなかったから? 」 「もう! 意地悪だね。」 「ローション、買って来たんだ? 」 「んーん、そんな雰囲気になったらどうしようって。 痛いのいやだし、店の姉さんに聞いたんだよ。そしたらローションくれた。 僕はさ、今まで恋とか愛なんて考えるヒマがなかったんだ。 でも、君に再会して、なんか気持ちが…… 」 ミツミがヤギの口を塞ぐ。 抱きしめてヤギの身体を持ち上げると、浴衣の袖から腕を抜いてベッドの横に落した。 チュッ、くちゅ、チュッ 「ん…… ぅ…… 」 ミツミが、ヤギの口に舌を差し入れ、ザラリと舌を舐め、絡め合った。 熱い、軟体生物のように、ミツミの舌とヤギの舌がやっと、この時を待っていたように求め合う。 ヤギの口の中を犯しながら、胸を合わせ、肩から背中を撫でて愛撫する。 薄く目を開けると、息継ぎに必死で鼻で息をするヤギが可愛い。 痩せた身体がゴツゴツと手に触れ、ああとミツミが吐息を漏らして首筋から胸元を舐めた。 「やだ、やっぱり恥ずかしい。だって、普通の友達だったのに。」 「可愛いよ、美里。そう言うとこが可愛い。」 乳首を口に含み、舌で転がすと身じろぎする。 「ん、ん、や、はあ、はあ、やだ、ああ、やだ、恥ずかしい。」 「はずかしい、はずかし〜い、美里ちゃん、いいね〜 」 「もう! ん、あっ! やだ、 」 チュッと吸うと、ビクンと跳ね上がる。 反応が可愛い。 「ねえ、ねえ、もう一回、あ、はあ、はあ、キスして。」 「いいよ。何度でも。」 見つめ合って、美里が目を細める。 ミツミの頬を撫で、ミツミも美里の頬を撫でる。 「愛してる。愛してるよ、美里。」 「もっと、言って、何度でも。」 「美里、美里、愛してるよ。」 耳元に囁くように告げて、耳たぶを口に含む。 ミツミの低い声に、美里の背中がゾクゾクと震えた。 口づけして、チュッと唇を吸う。 「ふふっ、唇って、柔らかいんだな。」 「そうだろ? それにフルーツ牛乳の味がする。」 「ほんとだ! 」 ミツミの唇が、頬に移り、そして首筋を辿る。 耳元で香りをかぎながら、また囁いた。 「美里の身体を、愛してもいい? 」 「いいよミツミ、僕の身体、あなたにあげる。 優しく、やさしくして。」 「優しくするよ、だから、美里。2人の時は健人って呼んでよ。」 ククッと美里が笑って、首から胸元に下りてきた健人の頭を抱きしめた。 「大好きだよ、愛してる、健人。」 ふと、顔を上げて健人が笑った。 「やっと言ったな、こいつ。やっと。 やっと、お前の言葉が聞けた。」 微笑む美里に狂おしい顔で口づけをする。 頬に、ひたいにキスをして、もう一度口づけする。 「健人、健人ってば、あっ、ん、は、」 首筋から、胸元、舌で辿り、キスをして、跡を残して行く。 チュッ、 チュッ、 「や、だ、あとが、残っちゃうよ。」 「残してんの。」 「もう! やだよ。 恥ずかしくてお風呂に行けなくなっちゃう。」 「いいじゃない、僕らエッチしました! って。」 恥ずかしそうに閉じる足に膝を割り入れ、なめらかに肌を優しく愛撫する。 頬を赤く染めて時々顔を振る美里を、健人はゆっくりと、優しく愛した。

ともだちにシェアしよう!