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第24話 愛する人と抱き合うのはなんて熱いんだろう
シャワー浴びて寝たいというので、ベッドから抱いて風呂場に向かう。
だけど、腰が抜けて足が立たない。
「くそっ、お前のせいで、立てない。何回したんだよ、お前のせいで~くそっ、」
「えー、えーと、3回。かな?
無理矢理立たなくても、そのまま寝ればいいじゃん。
あ、あ、危ない。」
「くそ、3回だと~? 馬か! 」
「いやいや普通だろ、そのままベッドで朝迎えればいいじゃないか。」
「馬鹿、ちゃんと元に戻らないと、明日帰れないだろ!
お尻にまだお前のが入ってる気がする。
うわあああ、お腹の中が違和感凄い。あああ、気持ち悪い〜 」
「シャワー流すぞ、ほら、掴まって。」
「うー、うー、触るな、くそ、ゾワゾワするんだよお! 」
「しーしー、声響くじゃん。」
いきなり冷たい水が出る。
それを足下からかけて、熱を冷まして行く。
「はあ、はあ、はあ、ああ、自分の足じゃないみたいだ。力が入らない。」
冷たい水を下腹部までかけて、うつむいて長く息を吐いた。
「寒いだろ? 1度お湯かけよう。」
お湯に切り替え、ホッと息を吐く。
見つめる健人に、美里がシャワーを浴びながら抱きついた。
健人がシャワーを出したままフックにかける。
美里を抱いて口づけをした。
「ほんとは朝までって、思ってた。美里が良ければね。」
「うふふ、家でしないとね。休みの前の日。」
「うん、そうだな。帰ってからのお楽しみだ。」
はあ…… 気持ちいい。健人の肌が心地いい。
抱き合って、肌を合わせるのがこんなに気持ちいいなんて、ああ、このまま朝まで抱き合っていたい。
自分がセックスをそんな風に考えられることに、美里が微笑む。
「大丈夫、立てるよ、あと自分でする。」
「うん、じゃあ、先に上がって片付けて寝る準備してくるな。
髪、ちゃんと乾かして来いよ。」
「うん、ありがと。」
シャアアアアア……
美里の身体を伝い、流れる水を見つめる。
愛したあとが、花咲くように赤くあちらこちらに残っていた。
「俺達、セックスしたんだな。」
「うん、2人で抱き合って、キスして、愛し合って、僕と健人、一つになった。」
「気持ち、良かった? 」
美里が恥ずかしそうに、小さくうん、とささやく。
「また、 またしたい。」
「良かった。美里、お前、本当に綺麗だ。」
健人が笑って、そっと頬にキスをする。
「健人、優しくしてくれて、ありがとう。」
美里が抱きついて、健人にもたれる。
健人が抱き返し、二人抱き合うと、もう一度キスをした。
「愛してるよ、美里。」
「うん、僕も、愛してる、健人。もう一回、もう一回、キスして。
ベロキスして。」
「ククッ、何だよベロキスって。」
ちゅっ、ちゅっ、チュッ、
ぐいぐい美里が舌を健人の口に差し込んでくる。
つたない仕草を受け止めて、舌を絡め合って、互いの舌をなめ合う。
「は…… あ…… 」
うっとりした顔の美里に苦笑した。
「満足した? 」
「うん、この続き、帰ってからしてね。」
「もちろんさ。」
健人が美里の頭を撫で、バスルームを出てゆく。
美里が目を閉じて、身体にそっと触れた。
ミツミが触れた場所に、キスをした場所に。
身体の中に、違和感が、快感のあとが、ありありと残ってる。
彼のものが激しく出し入れするたびに、何かをこすられて身体中を電気が走った。
凄い、今まで感じたことのない快感だった。
あんな叔父のいたずらなんて寒気しかしなかったのに、なんて熱いんだろう。
まだ身体がうずく。あの感覚を思い出して、ビクビクッと内股が引きつった。
「あ…… はあ、はあ、」
欲しい、まだ、もっと欲しい。もっと、今度はもっと、求めたいんだ。あなたを。
また、また、入れてよ健人。何度でも。
ああ、朝まで抱いて欲しかったのに。
また、抱いて欲しい、いっぱいして欲しい。
ああ、ずっと一緒にいたい。
そう、これから、2人で暮らすんだ。
ふたりで、普通に暮らせるんだ。
ほうっと息を吐くと、胸の高鳴りを感じてそっと押さえ、願うように手を合わせた。
あらためて、二人でベッドに入った。
ヤギはフカフカの布団が嬉しそうで、毛布が柔らかいと滅茶苦茶喜んでいる。
ミツミはそんなヤギを見てると、なんだか保護者のような温かい気分だ。
「あー、フカフカだ、なんて気持ちいい布団だろ。こんな布団、5年ぶりかな? 」
「家に布団あるの? 」
「そりゃあ、薄い掛け布団と毛布はあるよ。
別荘から持ってきたから。」
「え? 敷き布団は? 」
「こう、ギョウザみたいに二つに折って寝るの。」
「なんだそれ。」
笑っちゃ駄目なんだろうけど、ミツミがプウッと吹きだした。
「ほんとに最低限しか荷物無いんだな。」
「無いね。あのアパート、なんでも盗まれるけど、位牌と布団だけは盗まれない。」
「盗まれる? カギは? 」
「カギかかるけど、一人、鍵屋って言われてる空き巣常習屋がいるから、しょっちゅう開けられてる。
一度目が覚めたら、中に男いてビックリした事もあるんだ。」
何だよそれ、全然休まらないじゃないか。
「もう、このままうちにまっすぐ帰ろう。あー、そうか仕事だった。
すぐ終わるからどっかで待ってろ。」
「ふふっ、一度帰るよ、大事な物持ってくる。また駅で落ち合おう。」
「うん、今月いっぱいでアパート引き払え。
荷物あるなら友達に車出して貰うから。」
「うん、でも、荷物ってほんの少しだから。服はほとんど、まだ飲み屋のロッカーだし。
布団はもう処分する。」
「そうか、ベッド、シングルだったらもう一つ部屋に入るかな? 」
「今何があるの? シングル? 」
「いや、実はダブル。デカいとこで広々と寝たかったんで。
でも結局端っこで寝ちゃうんだよなあ。」
「なら丁度いいじゃない。」
「嫌じゃないなら。」
「今寝てるじゃない。僕は一緒に寝たいから丁度いいよ。」
ミツミが、ホッとしたように大きく息を吐く。横向いてそうっと手を伸ばし、上から腰を引き寄せた。
「あー、良かった。怒るかと思った。」
「怒らないよ~、浮気したら怒るけど。」
「え~、お前こそ、モテモテじゃん。」
「俺を好きになる奴なんて、変態しかいないからなー」
「それ、俺もじゃん。」
「ククク、中学から一途なんて、立派な変態じゃん。」
ヤギが、ミツミの頬にチュッとキスをして、目を閉じた。
「お休み。」
「ああ、お休み。」
大きく息を吐く。
ミツミは疲れたのか、寝息を立てるのが早い。
ヤギはクスクス笑いながら、目を閉じた。
ミツミ、ああ……
ミツミ、愛してる。
僕の事を、いつも考えてくれてありがとう。
そして、これからよろしくね。
ヤギは、久しぶりのまともな寝具で、心から安らいだ気分で眠りについた。
浮かぶ涙を拭いて、ホッと息を漏らす。
セックスの余韻に浸りながら、温かな体温に包まれてぐっすり眠った。
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