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02.紫亞の部屋には女の子の気配があった。

 紫亞(シア)の部屋には女の子の気配があった。しかも1人2人じゃない、複数人の影。  化粧水やメイククレンジングらしきものが数種類。男の一人暮らしには無さそうなタイプのヘアブラシ。くるくるドライヤー。カラフルなマニキュアの瓶。紫亞(シア)のものとは違うメントールのタバコの箱。デコられたライター。折りたたみミラーもデコられている。  5人も彼女が居るとこんな風になるのか、それとも彼が無頓着なだけなのか。それを突っ込んで聞く気にもならなかったし。きっと彼女たちもそうだったのかも知れない。 「やっと葉鳥(ハトリ)と2人きりになれた」  紫亞(シア)は言うと、まだ上着も脱がないうちから俺との距離を一気に縮めてくる。 「俺の手で感じてる葉鳥(ハトリ)が可愛すぎて、ずーっと一日中頭の中から離れなくなる」  そして右手のひらで俺の頬を包むよう触れると、唇を押し当てるようなキスをした。男にキスされたの……初めてで、俺の身体は咄嗟に拒絶するよう動いた。  ちんこ触られてもゾクゾク♡ してたのに、唇に触れ合うだけの方が違和感があるのは自分でも妙に感じるけど。 「嫌だった?」  戸惑うよう尋ねられ、 「男とキスすんの……まだ抵抗ある」  付き合うと言われてうなずいたのだから、これを普通に受け入れ重ねるべきだろうと頭では分かっていても折り合いがついていない。 「分かった。葉鳥(ハトリ)がイイって言うまで、キスはおあずけな」  仕方ないとでも言うよう紫亞(シア)は言うと、 「でもハグはやめない」  俺を抱きしめてきた腕の力は強すぎた。 「葉鳥(ハトリ)の匂い好きなんだよ」  言い、俺の頭の上で嗅ぐよう吸い込む息づかいには居た堪れないような羞恥が浮んだけど、これも身体が勝手に拒絶するってほどでもなかった。 「ね、いつもみたいに後ろから触って……」  紫亞(シア)の顔が見えないまま、俺は言う。 「いいの? 触って」  部屋にまで呼んだくせに今さらそんなこと聞く? と思いはしたが、彼はきっと俺に言わせたいのだろう。 「触って……欲しい。アンタの手コキでイッてみたい」  俺の方からもギュッと抱き返して言うと、俺から力を緩めた紫亞(シア)がまた俺の顔覗き込んで来る。促すよう、頬から顎にかけてのラインをクイと上げられ、 「……キスはしない約束だったよね、クソ」  またキスをしたいと思われていたのか、見つめられながらも踏みとどまったようだった。 「おいで」  とソファの上に引かれ、後ろからハグされる。  座面の広いソファだったので促されるまま片膝を立てた紫亞(シア)の股の間に座ったら、尻に硬いものの当たる違和感。たぶんシアはもう勃起し始めてる。  後ろからベルトを外され、ボタンとファスナーも解放される。紫亞(シア)の両手が俺の股間を暴き、パンツの腹のゴム下げられて、半勃ちになったちんこを露出させられる。 「写真撮っていい?」  ズボンの尻ポケットに入っていたのだろうスマホを探りながら言う紫亞(シア)に、 「だっ……ダメ、なんで写真なんか……」 「すげぇエロいじゃん、オカズ用に撮りたい。ちゃんとオマエだって分かんないように撮るから、な?」  紫亞(シア)の左手は俺のタマを包むようにサオまで持ち上げ、右手にはスマホ。スマホの液晶画面は俺からも見える角度で、たしかに俺のちんこだって情報はどこにもないけど‪――‬だけど……。シャッターは押されないし動画を撮られているようでもないけど、液晶がカメラモードになったまま手コキが始まる。 「‪――‬ッ、ッツ!! ~~ッ、ん……」  俺はグッと息を詰め、興奮と快感を押し殺した。 「ン? ここ電車の中じゃないから、息殺さなくてもイイんだよ葉鳥(ハトリ)」  紫亞(シア)は言うが、耳元で囁くよう言われるのは電車の中で話しかけられた時のようで。 「声も出して、葉鳥(ハトリ)」  名前を繰り返され、ドキドキした。  それでも俺はそのまま息を殺し声も出したりしなかったが、笑ってしまうほど単純にちんこは硬く膨れてしまう。半被りしてたちんこの先も露出して、上向いて来るの液晶に写されている。紫亞(シア)に見られてる。  先っぽが濡れて来るのを人差し指でいじられて、くちゅくちゅイジられ離される指が粘液の糸を引く。それを何度も繰り返され、俺の息が乱れてく。  気持ちイイより恥ずかしいとの昂るので荒くなる息に、 「こんなふうに触らせるの好きなんだろ? 葉鳥(ハトリ)」  また囁かれた言葉には、ぷるぷる震えながら頷いていた。  だって、こんなの……こんなの凄い。俺よりデカい手で、男の手でちんこを好き勝手されてる。今にも写真に撮られそうになってる。  そしてそのまま紫亞(シア)の手は俺のちんこを掴んで、上下に扱き始めた。 「‪――‬ッん、んんっ……んぅッ♡」  声が出そうになって、手で口を押さえる。もう片方の手で思わず紫亞(シア)の腕を掴み止めようとしたが、止まってくれないし振り解かれてしまいそう。  激しくシゴく手コキに俺はイッキに射精欲に追い上げられ、 「~~っふ、ッぅう~~……ッん♡ ッん♡ ッん♡ ッんんんんん"ん"ん"ん"ぅ~~♡」  紫亞(シア)に強くもたれ掛かりながら首を横に振り乱す。 「あぁ、もうイキそ? 葉鳥(ハトリ)って早漏? ちんぽ雑魚すぎない?」  もうイキそう! 出る! 出ちゃう! ってなってるのに煽るように言われ、萎えるどころか更に興奮してる俺。雑魚呼ばわりされたちんこに精子上がって来るのに、紫亞(シア)の親指と人差し指で作られた輪で擦られる亀頭のワレメからグチュグチュに沁み出すガマン汁は濁ってる。 「いいよ? イキなよ。男にちんぽシゴかれてイけ、イけ。電車の中じゃ出せなかった精子、全部出しちゃえ」  煽るような唆すような紫亞(シア)の声は、俺の鼓膜だけじゃなく背すじまでゾクゾク♡ と震わせて、イケメンなだけじゃなくて声までイイとか反則だろ! って頭のなか真っ赤になってる。 「んぅッ♡ ん~~ッッ♡ んッ……はぁッ♡ はぁッ♡ はぁッ♡ はぁッ♡ ‪――‬ん……ぁ、ッぁ……はぁッ♡ はー♡ はー♡ んぁっ♡ ンぁ♡ ンぁ♡ ン"……~~ぅあ"♡」 「いいよ、もっと声出しちゃえ。ビクビクしてんのめちゃくちゃ可愛いよ、葉鳥(ハトリ)」  声に、ゾクゾクゾク~~っ♡♡♡ と震えて、 「ッあ♡ ッあぁぁンっ♡♡♡」  それは止められなかった。口を抑えてたはずの手を離し、強い快感をシゴいてくる紫亞(シア)の腕を思わず掴んで揺さぶられていたのだから仕方なかった。 「‪――‬ッあ♡ ッあ♡ ッあ♡ ッう、ぁあああ……ッん♡ だめ、だめ、イく♡ でる♡ も、でる♡」  出ちゃう! 出ちゃう! 射精するッ! って追い上げられる俺の声に、 「出る? 気持ちイイ?」  訊いてくる紫亞(シア)の声。伺うようだけど、実際は煽ってる。俺の顔覗き込む目も笑ってる。 「気持ちぃ♡ ちんこきもちイ♡ ちんこめちゃくちゃに手コキされんの、凄い♡ こんなふうにされたかった♡」  ずっと、電車の中でこんな風に激しくいっぱい触られたかった。ダメって言っても嫌って言っても止まらない手に、めちゃくちゃにされる妄想いっぱいしてた。 「されたかったんだ? スケベで可愛いね、葉鳥(ハトリ)はこんな風にされるの好きなんだ?」  紫亞(シア)の目も口元も笑ってるけど、声は酷く甘い。それは恋人に対するような温度と、籠絡させようとするような蜜だと思った。 「うんっ♡ 好きぃ♡ 好き♡ すき♡ すき♡ ちんこ気持ちい♡ ヤバい♡ ヤバい♡ 俺、ヤローに手コキされてイッちゃう♡ 痴漢に手コキされて気持ち良くてイッちゃう♡ イッちゃうよぉおお♡♡♡」  俺はちんこ気持ち良すぎて、射精したくてしたくて腰揺れちゃって、いくらイケメンでもこの触れ合う熱が嬉しくても、大きな手でされる手コキに理性奪われるほどの快感に震えても‪――‬こんなヤツ痴漢なのに、そんな風に扱われることにすら興奮するの凄くて喚くような言葉止められなかった。 「可愛い葉鳥(ハトリ)♡ 俺のハトリ♡ 雑魚ちんぽでイッて! 俺の手コキでイけ! イけ! イけ! イけ!」  可愛いと言われ、イけ! と命ずるよう言われ、 「イく♡ イく♡ イく♡ イくぅ~~♡♡♡」  紫亞(シア)の手コキにラストスパートのよう追い上げられた俺は、上向いたちんこの先からとうとうブッ放した♡ びゅるっ♡ びゅるっ♡ ぴゅるるるるる~~ッ♡ びゅるるるるる~~ッ♡♡♡  いつもより明らかに長く続いた射精中、ずっとイッてて凄かった。射精の快感と開放感に腰がヘコヘコ揺れてる。腰と一緒にまだ半勃起の角度で俺のちんこも揺れる。 「葉鳥(ハトリ)ってちんぽあるのにどうしてこんな可愛いの?」  射精の余韻でビクッ♡ ビクッ♡ ってするの止まんない俺の耳の後ろで囁く声にすら、ビクッ♡ てなる。 「か、かわいい?」  愛でるような響きで甘く言われたその言葉に、 「マジでかわいいよ、触りたくて我慢できなくなるくらいかわいい」  まるで猫やウサギみたいなふわふわした小動物のように言われたと思ったけど、紫亞(シア)の「触りたい」はそういう「触りたい」じゃない。電車の中でも構わず身体を密着させ、パンツの中に手を突っ込んで寸止めを繰り返しいたぶるような「触りたい」だ。 「イくときエロい言葉言っちゃうの癖? それめちゃくちゃ興奮する」  イッた余韻でまだ脳の動きは鈍かったけど、 「ちっ……違う……こんなの、初めてで、癖とかじゃ……」  直前までの痴態を言われれば、恥ずかしいという気持ちが戻ってくる。 「1人でする時は? 声とか出ちゃう方?」  男にとってら1番プラベートなことをずけずけと訊かれる強引さに、 「だ……さないけど、出ちゃいそうで我慢するときある。頭の中でイクっていっぱい言ってる……かも」  俺は羞恥を覚えつつも素直に答えてしまっていた。まるで誘導尋問のように簡単に。 「可愛いね、葉鳥(ハトリ)。もっと聞かせて?」 「ヤダよ……」  あんな声聞かせるの、ましてや男相手に聞かれるの嫌なのは本当のことなのに、「可愛い」って言葉に反応してしまい拒絶の言葉が緩むの自分でも信じられない。 「イヤならついてくる訳ないだろ?」  きっとその言葉は女の子相手にも言い慣れた言葉なんだろう。紫亞(シア)はゲイじゃないって言ってたし、きっと口説く言葉なんかも全部女の子に向けてるものと一緒なのは当たり前のことなのに、女の子みたいに「可愛い」って言われてイヤラシイことされそうになってる……ってことにゾクゾク♡ する俺、変になってきてる?  それでも、出した精子をティッシュで拭かれ、 「シャワー浴びよっか」  言われた言葉に、これで終わり……かなって、ちょっとホッとしてる俺もいる。このままいきなり女の子みたいに抱かれるかも、ってのちょっと怖い。 「う、うん。風呂借りるね」  言いながら起き上がる俺に、 「一緒に入るんだよ」  紫亞(シア)は言って、笑った。 「えっ? 一緒に?」 「俺の手で葉鳥(ハトリ)の身体洗ってあげる」  やっぱ口元を緩ませても、イケメンって絵になるんだな。 「手……って」 「電車の中じゃ触れなかったとこまで全部触らせて?」  言いながら伸びてきた指が、シャツ越しに俺の乳首を探り当てて引っ掻いた。

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