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第3話

 「ねえ、あなたで本当に上手くやれるのでしょうね?」  「まず手付で十万、成功報酬で二十万で引き受ける」  「そんなに?高いわ」  「あんたさ、離婚していくらもらおうとしてんの?そのくらい安いもんでしょ。俺は一度も失敗したことはないよ」  胡散臭い探偵事務所の紹介でもらった仕事。ホームを出て以来、ウリ専で働いていたが、今の事務所の所長に拾われた。それ以来こうやって詐欺まがいの仕事を頼まれている。  まずは確実に仕留めるために詳しい情緒が必要だ、成功には下調べが九割なのだ。その男が何が好きなのか、何が足りないのか、何を求めているのか。そうして渇望しているものを与えてやれば、落ちる。落とすのは一瞬で簡単だ。  俺は決して孕まないし、金をもらっても売春にはならない。だから所長が俺を使いたがるのもわかる。後々問題になることは困るのだろう。 「どんな人かって?本当に退屈な人よ。仕事しか頭にない、それでいて家庭への執着があって。趣味もないつまらない男」  そんな相手を選んで結婚したのは、あんただろうと思ったが、まるで自分が正義かのようにたらたらと恨み辛みを並べ立てている。  温かい家庭に焦がれた悲しい男、それだけ分かれば十分だ。意外に落とすのは簡単かもしれない。愛情に飢えた寂しい子どもを演じて、近づけばいい。きっと簡単に思い通りになるはず。  こちらから仕掛けた電話にしばらくして、折り返しがあった。なければ、もう一度かけ直すつもりだった。相手(ターゲット)からの着信を見て、自然と笑いがこぼれる。  「よし、ヒットした。あんたに恨みはないけど、これが俺の仕事なんだ悪いね」  そう手中にある写真の中年の男に声をかけると、深く息を吸って電話に出た。  

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