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【第3章】 第1話 初めてのテスト期間
それから間もなく、初めての大学のテスト期間に突入した。
ノートはちゃんととってるし大丈夫だろう――と、軽く思っていたら、大分違った。
実際、教科書は分厚いし、試験範囲は広いし、教科も多いし。試験と一緒にレポートを提出する授業もある。出てくる単語のレベルも高校までとは全然違うし、大学から学び始めた第二外国語もかなりきつかった。ドイツ語なんてとらなきゃよかった……。
きっつ……。何度、一人、家で、呟いたか。
夜更けに、文字を追いながら、気が付いたら、机で寝落ちていたり。カフェイン取りすぎて、気持ち悪くなったりもした。
意外なところでありがたかったのが、サークルの陽キャの先輩達。
同じ学部の人たちが何人かいて、いろいろ相談に乗ってくれた。
去年の試験の傾向と対策なんかを教えてくれた。
「これは絶対毎年出てるから絶対チェックして」
とか。レポートも、書き方や、どういうのに良がつくかとか。皆親切にいろいろ教えてくれた。
先輩目当てに入ったけど、入って良かった、と心底思ったりした。
答案用紙に向かうときは、ほんとドキドキで。零点とかとったらどうしよう、みたいな。
実際は、空欄もそんなに作らず、埋めることが出来て――やっと、最後のテストが終わった時には、机に突っ伏した。
「……やっと終わった……」
一人で、思わず声に出ていた。
つか、マジで死ぬかと思った。全身から、ほっと息が抜けていったような。
その日は、家に即帰って、泥のように眠った。
正直テスト期間中――先輩に連絡できなかったのが一番つらかった。
スマホを何度も握りしめては、「今はテスト中……」と呟いて、我慢。ほんと、どんだけ、我慢したか。
そのちょっと前まで、結構頻繁に顔を見れていたから、反動が大きいというか。もうほんと、辛かった。
学部も違うから、先輩にはテストのことは、聞けないし。近いのに、急に訪ねるのも変だし。というか、先輩もきっと、テストそれなりに大変だろうし。
もう本当に、寂しかった。
しかも、テスト勉強に必死になりながらも、頑張らなきゃいけないことがもう一つあった。
――ぬいのイベント準備。
ぬいを売る店の方は、スペースと机を借りれるだけなので、作れた分だけ並べられればいいみたいだった。参加料を支払えばOK。
面倒だったのは、主催者の人と連絡をとりあって、どんなワークショップにするかを決めなくちゃいけなかったこと。
夏休みで、やっぱり、子供が主に参加するだろうってことで、オレが提案したのは、「針も糸も使わないぬいぐるみづくり」だった。
ぬのとフェルト、目とかもくっつけるだけ。手芸用ボンドで全部くっつけていく。チャコペンでほっぺを書けばある程度可愛いだろうし。
それに決まってからも、人数やら材料の準備。
聞かれたことに応えたりするだけでも、結構な時間を費やした。
そもそも、主催者の担当者と電話したり、メールしたりするだけでも、オレにとっては、結構なメンタルを使う。
内容自体は大したことじゃなくても、文章をを考えて打ち込むだけで、なんだか心臓が疲れるというのか。
テスト勉強やレポートと並行して、それをこなすのは、正直すごくきつくて。
でも結局、後輩たちも手伝ってくれることになったし、結愛も先輩も協力してくれるので、投げ出すわけにもいかず。
マジで、テストが終わって、ほっとした。これで、専念できるし、先輩にも、連絡できる。
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