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第12話 高校時代のオレ

 その後、ワークショップ用の材料の準備を済ませた。  販売とワークショップ、どちらに何時から入るかは、スマホで調整することに決まった。 「じゃあ販売用のぬい、よろしくお願いします。進捗はまた連絡とりあおうね」  そう言って、解散にしようと思った時、先輩が「はい」と手を挙げた。 「せっかくだし、集合写真撮る? 記念に」  先輩がカメラを皆に向けると、皆が一斉に「わーい!」と声を上げ、広めのスペースのところに並びはじめた。  結愛とオレは、とりあえず端っこで。 「先輩も入ってくださいね。タイマーで」 「オレも?」  苦笑する先輩に、皆が口々に「一緒に撮りたい」的なことを叫んでる。 「分かった、じゃあ、宮瀬の横、いくね」 「はい」  先輩がシャッターを押して、カメラのタイマーのライトが点滅する。  先輩がオレの隣に入って、数秒。シャッター音と同時に、家庭科室はぱっと明るい笑い声で包まれた。 「じゃあまた~!」  皆とは家庭科室の前で別れて、結愛と先輩と三人で、職員室の先生の元へ向かった。 「先生~!」  職員室を開けて、結愛がおーいと、手を振っている。 「おお、終わった?」 「はい。すみません、急に使わせてもらって。助かりました。……あと、差し入れも、ありがとうございました」 「ん。イベントは二週間後だっけ?」 「はい」 「頑張れよ~」 「もう一度家庭科室に入れて、嬉しかったです。ありがとうございました」  そう言うと、先生は笑いながら頷いた。 「また来たら? いいよ。運動部は結構来るんだから、手芸部だって、OBが来ても良いと思うよ」 「そう、ですね……」  ちょっと曖昧に微笑みながら、オレは、そう言った。なかなか平気な顔して、何度もここに来れる気はしないけど。 「宮瀬もね。手芸部でもないのに、なんだかいろいろありがとうね」 「いえ。すぐOKくれてほんとにありがとうございました」  頭を下げてる結愛に笑って頷いてから、先生は先輩を見た。 「君は、宮瀬の……なんの先輩?」 「サークルが一緒です。まあ、いろいろあって、ぬいの手伝いもたまにしてます」 「そっか」  先生がクスクス笑いながら先輩に。 「宮瀬ってサークルではどんな感じ?」 「……良い奴ですね。真面目だし。皆に優しいし」 「あぁ。……じゃああれだな。中身はあんまり変わってないんだな」  クスクス笑う先生。  ……先生って、オレのこと、そんなに知ってたっけ。  部長だったから用件はあったし、少しは知ってるとは思うけど。  でも、高校時代、そこまでオレ、中身出して生きてなかったけどな……。 「宮瀬さ、部を引退した時の自分の挨拶、覚えてる?」 「……挨拶ですか?」 「そう。オレが、急に、言えって言ったやつ」  ……あー思い出した。挨拶とかすべきですかって聞いたら、三年間ありがとうくらいでいいよって言ってたくせに。  やっぱり部長として締めてもらわないと、とか言い出して……。

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