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第14話 モテるって、中身とセット
なんだかすごく、いろいろ恥ずかしい思いもしつつ、先生と別れて高校を出た。
結愛と一緒に駅へと向かって三人で歩く。
なぜか三人で歩くときは、結愛を真ん中にして歩いている気がする。
「ありがと、結愛。なにからなにまで」
「手芸部の子に仲良しが居るからさ。別に何も大変じゃなかったよ」
「そっか。でもほんと、ありがと。準備もやりやすかったし」
「また近い内、いろいろ詰めに行くね」
結愛に頷くと、ふ、とオレを見つめてくる。
「私さ、昔、仲いい手芸部の子にさ、お兄がお兄ちゃんでいいなあって言われたことがあってさ。優しいからかなぁって勝手に思ってたんだけどね」
「うん?」
「マジで結構憧れてるって言ってたよ。前のお兄でも良かったらしい」
「それは冗談じゃない? 結愛、社交辞令はそのまま受け取っちゃだめだよ?」
「……っ」
結愛が、がく、と項垂れた。
「あのさぁお兄……」
言いかけてため息をついて、結愛は話すのを一旦やめた。
それから、ふ、と笑いながらオレを見上げた。
「今日見てて思ったんだけど……もしかしたら、大学デビューとかしなくても、お兄はお兄で、良かったのかも、て思っちゃって。なんか無理矢理、そうしちゃってたらごめんね」
「……そんなこと無いと思うよ。あれが無かったらオレ、大学で友達居たかもわかんないし……こないだの合宿は、間違いなく行ってないし。――結愛には、感謝してるよ」
「……そう?」
「うん、そう」
「そっか。ならよかったけど」
「そうだよ。……でも、昔のこと、後悔するとか、結愛っぽくないからね。全然そんなの、気にしなくていいよ。結愛がやってくれたことは、多分、オレにとって、ありがたいことだからさ」
そう言うと、結愛は少しの間オレの顔を見つめて考えていたけれど。
しばらくして、ふわりと微笑んだ。
「……確かに! そうだよね、お兄はカッコよくなったから、それでよし、だよね」
「そう。かな。まあでも大分ましになったよね?」
「マシっていうか、今は結構カッコいい方だよ」
「それはないけど」
「お兄、少しは自信もってよ~」
オレと結愛のやり取りを聞いていた先輩は、クスクス笑って、「そうだね」と頷いてる。
「オレ、昔の宮瀬、見てみたいんだけど……嫌ですって言われちゃったんだよね」
「あーそうなんですか? え、別に見せちゃえばいいのに」
結愛はクスクス笑ってオレを見てくる。
「でも今と全然違いますよ。お兄、今のこの顔してたら、高校の時、モテたんじゃないのかなぁって思うんですけど」
「――そんなこと無いってば。モテるって、中身とセットだと思うし。結愛のおかげで人並みになったかもだけど」
そう言うと、結愛はオレを見上げて、ため息をついてる。
「そうだよね……お兄、そういうとこだよ」
「……どういうとこ?」
「モテないって決めつけてて、中身が足りないとか言っちゃうとこ……? って、そういえば、陽彩先輩はさすがでしたね~めっちゃモテてた。一瞬で、なんか、溶け込んでたし。さすがです」
結愛がクスクス笑って、先輩に話している。
「そんなこと無いと思うけど」
先輩は謙遜してるけど。
「オレもさすがだと思ってました」
イベントの日も先輩が来ると聞いて、めちゃくちゃ喜んでる子たちもいたもんな……。
まあ。ものすごく気持ちはわかるけどね。
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