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第17話 泊まりの誘い!?

 ――とは思うものの、そうそう簡単に先輩の役に立てるようにはならないだろうし。  困ったな。 「宮瀬、ごはん。買って帰ろうか」 「あ、はい……?」 「食べてく? て言おうと思ってたんだけど、帰りも皆に会ったらさすがに気まずいし」  苦笑している先輩に、「なんだかすみません」と謝ると。 「何で謝るの。手伝うって約束してたじゃん。それよりさ、宮瀬って、今日明日、暇?」 「えっと……用は無いんですけど、ぬいとか作ろうかと……」 「じゃあさ、宮瀬の家に寄って、必要なものを全部持ったら、オレのマンションにこない?」 「……えっ!」  心臓が一瞬止まったような。  幻聴かと思ったほどにびっくりした。  オレの顔を見て、むしろ今度は先輩の方がびっくりしている。 「えっなんでそんな驚くの……前、送ってくれたから場所も分かるでしょ? そんな遠くないし……」 「それって、オレが先輩の家に」 「泊まりに来ないかなと思ったんだけど……迷惑だったらごめんね?」  オレの驚きを、先輩はどう取ったのか。最後、ちょっと困ったように聞いてきた。 「ち、がいます、迷惑なんかじゃ……!! いや、いいのかなって思って」 「良くなきゃ誘わないしさぁ。……ていうか、オレ、結構、宮瀬の家に行ってるから、別に逆になるの位いいかなーって思ったんだけど」  苦笑してる先輩は、オレを見上げて笑う。 「あのね、オレんち、五階でさ、結構自然光が入る窓なんだよ。白っぽい家具も多いし、写真撮るのに、宮瀬の家で撮るより、綺麗に撮れそうなんだ。だから今日から泊まって、朝の光とかでも試してみたいなーと思って。あと、パソコンとプリンターあるから、写真も出したのすぐ見て貰えるし」 「あ、なるほど……です」 「どうする?」 「……お邪魔でなければ、行かせてください」 「だからー邪魔だったら言わないってば。じゃあ決まりね」  それから、お弁当屋さんで夕飯を買い、コンビニで、夜食べようとおやつを買った。先輩はお酒と、オレはノンアルでちょっとお酒気分。二人で飲む、みたいな。楽しみ。  オレのアパートに寄って今日の荷物を置く。  玄関に座って待っててくれてる先輩に、急いで準備してると。 「宮瀬はオレの服、多分着れないから、自分の寝る服持ってね」 「あ、はい」 「オレは宮瀬の着れるのに……」  とか、なんだか面白くなさそうにブツブツ言ってて、かなり可愛い。  前、オレの家に泊まった時は、結愛が居たんだよな。といっても結愛は寝室で、オレ達は同じ部屋だったから、あの時も二人といえば二人だったけど。  ……今日は完全に二人か。  あの時よりも、オレ。  先輩のこと――もっと好きだからなあ。  前に泊まった時の、先輩の寝顔を思い出すと、かなり、ドキドキして、自分でも困る。  とりあえず、平常心でいこう。  まあ、オレ、自分が、理性を振り切って、先輩に何かしてしまうなんて、  そんなことが、自分にあるとは、0.01パーセントも思わないから、絶対大丈夫なのは分かってるけど。その心配はないけれど。  ただ、意識したら、死ぬほど 緊張しそう。  ……先輩が、頭ちょっとだけ出して寝てるのは、めちゃくちゃ可愛かったけど。  風呂上がりとか、やばかったような……。  オレ、マジで緊張したら余計なこと言ったり、どもったり。  そっちで気味悪がられそうなので、  マジでそっち、気を付けないと。 「写真撮る用の、シルクぽい布とかさ、可愛い感じの柔らかいリボンとかあったら、それも持って? あと……宮瀬が作ってるとこも、撮りたいから、作るグッズも持ってきてほしい。実際何か作ってくれてるところ、好きに撮るから」 「了解です。入る限りたくさん、持って行っときますね」 「うん」  せっせと準備していると、先輩が、「宮瀬―郵便受けにでかい封筒が入ってるよ」と言ってくる。目の前に見えたんだなと、ちょっとおかしくなりながら取りに行く。見慣れない封筒。差出人を見て、ああ、と頷いた。 「イベントのパンフレットとか、説明の封書ですね。持っていって、見ていいですか?」 「もちろん。結構分厚いね」 「ですね。読まないと」 「一緒に見るー」  ……めんどくさいなぁと思ってたのが。  一瞬で楽しみになるから不思議。

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