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蜜月(みつげつ)

※性行為描写が長く続きます。苦手な方はご注意下さい。 青灰色の瞳が蕩けるように甘く細められ、吐息は熱を帯びる。 「……んっ……んん……っ」 深い、深いキス。唇を何度も重ねて舌先が柔らかく絡む。甘い吐息が夜の静寂を溶かす。 「……大丈夫だ。今日は、ちゃんと優しくしてやるから……」 低く、掠れた声が匠の耳にそっと注がれる。それだけで全身が震える匠。遙の指が優しく茶色い猫っ毛の髪を撫で、頬を滑り喉元を辿る。時折そっと止まり匠の震えを感じ取るように、また優しく撫でる。 「だから……お前の全部を俺に寄越せ……」 喉の奥で掠れる声。指先は細やかに、まるで宝物に触れるように進む。 「……うん……っ」 小さく甘い声が漏れるたび、遙の瞳は更に熱を帯びる。 「全部、俺のものだ……」 指が絡み、唇が何度も啄まれ首筋に優しく痕を残す。呼吸が混ざり合って寝具の上で二人の世界が深く沈んでいく。 「……愛してる……」 脳を溶かすような甘い声で囁かれた言葉が匠の鼓膜の奥まで響く。甘さと熱と、止まらない愛。果ての無い夜の中で、二人はひたすら溶け合う。触れられるたびにビクビクと震える匠。遙の指先が匠の髪を梳く。細い髪一本ずつを愛おしむように、ゆっくりと。 「大丈夫だ、怖くない……俺を見ろ」 低く優しい声が耳に落ちる。すぐ傍で感じる熱と甘い息。匠は赤く染まった頬を隠すように顔を横に向けるが、遙の指先が顎を持ち上げ正面に戻される。 「目を逸らすな……」 青灰の瞳が深い底から匠を飲み込む。 「……んん……っ」 再び絡み合う舌先。最初は優しく、そっと触れるだけだったが次第に深く、激しく、互いの息を奪い合う。唇が離れるたびに、銀色の糸が二人の間に伸びる。匠の胸が小刻みに上下し、喉が細かく震える。 「……はぁっ……はるかぁ……」 掠れる声に遙の手が首筋を優しくなぞる。そこに置かれた指先が微かに脈を感じ取り、遙が嬉しそうに笑う。 「良い子だ……もっと俺に縋れ」 遙の指が鎖骨を撫で、更に少し下りて胸元の先端をきゅっと優しく摘む。指先が触れるたびに、匠は喉の奥で小さく鳴く。 「……あっ……う……っ」 額を寄せ、熱い吐息をぶつけ合う二人。遙は匠の腰を優しく引き寄せ、その柔らかい身体を自分の胸に沈める。 「……可愛過ぎる……やはり優しく出来るか不安になってきた……」 耳元で響く、その言葉に匠の背筋がぞくりと波打つ。 (それでもいいって、思う俺も異常なのかな……) 喉の奥から漏れる震え声、絡む指先、熱に浮かされた視線全てが甘くて、狂おしくて、切なくて、でも幸せで。夜が二人の世界をとろりと包み込む。 「……遙……」 唇を離した瞬間。匠が自分から遙の首に腕を絡めた。 「……もっと……して……」 潤んだ琥珀の瞳が遠慮がちに遙を見上げる。赤く火照った頬、か細い声。そして自ら寄せる、触れるだけのキス。遙は一瞬だけ驚きに揺れるが、すぐにその瞳が鋭く細められる。 「ふふ……やはり激しいセックスをご所望か……」 「お、俺……」 震える手で遙の銀髪にそっと触れた後、絡めた腕の力を強める。 「……ずっと怖かった……でも……ずっと遙の事考えてた……」 乱れる呼吸の合間に零れる、弱くも強い告白。 「……やっと吹っ切れた……だから、俺からも……欲しい……」 遙の喉が小さく鳴る。目の奥で暗い炎が燃え上がる。しかし今は匠の積極性に任せるように僅かに身を預ける。遙は横になり、匠を持ち上げると上にして自分に跨らせた。 「そうか……」 そっと呟く遙に、匠は微笑を浮かべ再び唇を重ねる。何度も何度も深く、ねっとりと。呼吸が絡み合い匠の指先が彷徨う。そして、匠の腰が遙へとゆっくり沈んでいく。夜が深くなるほどに匠は激しく、更に熱く愛でられる。 「んっ……ああっ……!」 甘く震える声が室内に響き渡る。 「……っあ……はるかっ……」 匠の声が途切れ、吐息と共に震える指先が遙の腕を強く掴む。遙の上に跨った匠の腰が浅く、小刻みに揺れるたび全身を襲う快楽の波に、匠の肩はビクビクと震わす。 「動きを止めるな……」 遙が低い声で囁くと匠の瞳が更に潤み、喉の奥でくぐもった声が漏れる。 「……んっ……あっ……!」 熱く、ねっとりと絡む舌。匠は夢中で遙の唇を貪る。舌の奥まで何度も押し込まれると背筋がビクンと反応する。 「……あぁっ……はるかぁっ……!」 遙は、なかなか動かない匠の腰を持ち上げるように支え下から深く突き上げた。 「騎乗位は初めてだな……しかし、もっと動いて貰わないとな……」 低く艶のある声で囁き、乱れる髪をかきあげて更に匠の奥を抉る。匠は浅い呼吸を繰り返しながら、腰を必死に動かし始める。 「あ……おれ、もうっ……!」 崩れ落ちそうな身体を遙がしっかりと下から固定し、甘く狂気を含む声を響かせる。 「……俺を満足させるまでは終わらない。ほら、もっと腰を振れ」 匠の身体は熱で蕩け、背中を反らせて押し寄せる快楽に抗えず痙攣する。 「……ああぁっ……はるか……も、だめぇ……!」 遙の肌に、ほとばしる匠の白い欲。それを指で掬って舐め取り満足そうに青灰の瞳を細めると、再び律動を開始する。奥を突き立てて水音を響かせ、更に激しく匠の身体を揺らす。細かく震える腰の動き、絡む舌、重なる吐息、打ち込むリズム、痺れるほどの一体感が夜を甘く染め上げる。互いの熱と想いがぶつかり合い、蕩けるように何度も、何度も。 「愛してる……匠。お前は一生俺のものだ……」 二人は濃密に深く愛し合い続けた。 静かに響く二人分の荒い呼吸。何度目か分からない行為の後。匠の胸は小刻みに上下し、肩が微かに震えている。その頬は未だ赤く、熱を孕んだまま。 「……はっ……はぁっ……」 目を細めながら、小さく口を開いて酸素を求める匠。額には汗が滲み、睫毛にまだ涙の粒が残っている。遙は背中に回していた手をそっと緩め、匠の柔らかい髪を撫でる。 「落ち着いたか……?」 低く、子供をあやすような声。呼吸が僅かに乱れているが、それでも甘く、何処か優しい余韻が残る。匠はすぐに答えられず、しばらく喉を震わせて小さく息を吐く。 「……はぁっ……まだ……っ」 掠れた声。遙より細い指が、しがみつくように遙の肩に触れる。その指を絡め取り、そっと唇を寄せ額同士をくっつけて互いの熱を分かち合う。 「……可愛いな……」 静かな中に溶ける優しい呟き。匠の震える身体が少しずつ落ち着き、呼吸がゆっくりと戻っていく。 「バカ……」 頬を赤くしたまま少しだけ睨むように視線を向ける匠。遙は微かに笑い、その唇にそっと優しいキスを落とす。 「お休み、匠……」 掠れた低音。何処か満たされたような響きだが、胸の奥にはまだ燻る熱が疼いていた。 (……全然足りないが、今夜くらいは……) 視線を落とし、眠そうに瞬きを繰り返す匠を見る。 「……うん、おや……すみ……」 赤く火照った頬に微かな笑み。ふわっと掛かる甘い吐息。 (……寝かせてやらないと……) そう思っていた、その瞬間。 「ん……」 小さな声が毛布の奥から漏れた。寝息に混ざるように甘い囁きが遙の耳を震わせる。 「……はるか……おやすみ……」 その声は甘く柔らかく、まるで誘うような響き。 (……また、そんな声を出して……) 遙の喉がひくりと動き、浅い息が胸を突き上げる。微かに眉を寄せ、再び匠を見下ろす。 「……全く、お前という奴は……」 理性の残骸が、再び熱に溶かされる音が頭の奥で鳴り響く。 「寝かせる気、無くなるだろう……」 静かなはずの夜に再び滾る熱と鼓動。既に遙の青灰の瞳には、欲を滲ませた残光が灯っていた。 (明日……この責任は取って貰うか……) 匠の寝息は遙の燃え滾る欲に反して、すうすうと穏やか。悶絶しながら、遙は必死に瞳を閉じた。 朝の柔らかい光がカーテンの隙間から差し込む。ふんわりとした静かな空気。匠は瞼をゆっくりと持ち上げる。 「ん……」 寝ぼけた声。目を開いた瞬間、まだ焦点が合わず何度か瞬きを繰り返す。 (……あれ、いつの間に寝てた……?) 身体の中に、うっすらと残る熱と鈍い痺れ。その感覚に徐々に記憶が蘇る。熱くて、甘くて、溶けそうだった夜の事。何故か初夜を迎えたようにも感じる。 「っ……!!」 一気に赤くなる頬。思わず胸元を押さえ息を詰める。周りを見渡すとすぐ傍には静かに寝息を立てる遙の姿。 (……ね、寝てる……?) 遙の顔があまりに近い。固く閉じられた唇、微かに乱れた銀髪、落ち着いた呼吸。その全てが匠の心臓を無遠慮に叩く。 「……バーカ」 小さく囁いてみても遙は目を覚まさない。けれど、その寝顔は何処か満たされていて、無防備で。匠の胸の奥に静かで熱い感情が広がる。 (……ズルいよな、何でこんなイケメンなんだよ……) 指先でそっと、遙の綺麗な銀髪を撫でる。 (好きだ……好きなんだよ……俺はホモになっちまったんだ……) 胸の内に秘めた声が、朝の空気に溶けていった。未だ眠る遙の穏やかな寝息が匠の耳に静かに届く。匠は自分の鼓動が早い事に気づく。それでも小さく拳を握り締め、意を決する。 (日頃の、この恨み……晴らさでおくべきか!!) そっと身体を寄せ、遙の顔に近づく。その顔を細い指先で包むように触れる。 「……起きろ、バカ……」 小さな囁きと共に匠の唇が遙の唇に重なる。最初は触れるだけ。それを何回か繰り返してみたが、なかなか目を覚まさない遙。安眠妨害してやろうと恥ずかしそうに、だが勇気を振り絞って今度は唇を深く奪う。 「……ん、ふ……っ」 匠の舌が、ぎこちなくも一生懸命に遙の口内を探る。震える息、浅い呼吸、濡れる音。遙の瞼がゆっくりと開き、最初はぼんやりとした視線。しかし、すぐに驚きと快楽が混ざったように目が細まる。 (こいつは本当に全く……可愛いが過ぎる……) 「……朝から随分と積極的だな」 いつもより低く、少し眠そうな声。匠は目を逸らさずに唇を離した。 「……昨日、お前だってやったじゃん……」 赤い頬、涙で濡れた瞳、必死な呼吸。そんな匠を見て遙の理性が残る訳も無く。 「匠……」 遙の手が、勢いよく匠の腰をがっしりと掴む。 「……もう、どうなっても知らんぞ……」 次の瞬間。遙は寝起きのまま匠を引き倒すと、今度は遙からお返しと言わんばかりの深い深い、果ての見えない口付けが始まった。目を覚ましたばかりとは思えない、濃厚過ぎる接吻。遙の瞳が静かに細められる。そこに浮かぶのは冷たい理性ではなく底無しの欲望と、狂気のような愛。ようやく唇を解放すると、頬を紅潮させた匠を見て微笑む。 「昨夜……」 低く、喉の奥から響く声。ベッドの上で匠の身体をしっかりと抱き締める。 「死ぬ程、我慢してやったんだ……」 近過ぎる距離で熱い息が匠の耳に絡む。匠の肩がビクッと震え、浅い息が溢れる。 「丁度良い……」 遙の指が匠の顎を持ち上げる。潤んだ琥珀色と、青灰色の狂おしい視線が絡まる。 「……責任、取ってくれるんだろうな」 唇が耳元に押し当てられる。低く、濡れた声が忍び込み匠の全身が溶けそうになる。 「あぅ……」 小さな悲鳴のような声をすぐに遙の唇が奪い、言葉を封じる。 「言っておくが……」 指が匠の腰を這い、震える脇腹を押さえる。 「……煽ったのはお前だ、それを良く理解しろ」 匠の顔が真っ赤に染まり、呼吸が乱れる。 「もう限界だ……今日は徹底的に抱いてやるから覚悟しておけ」 瞳の奥に燃え盛る熱。遙は舌舐めずりをして微笑んだ。昨夜見せた優しい笑顔から一変、それは完全なる捕食者の笑みだった。そして甘く、深く、朝を溶かす情事が再び始まる。不意に遙の耳元で震えるようにして届く声。 「……望むところだっ……」 掠れ、滲むようなその一言。そこに宿るのは恐れではなく、匠自身の奥底から湧き上がる熱。遙の瞳が大きく見開かれた後、燃えるような光を孕んで細められた。 「……ふふ」 低い、押し殺すような笑い声。指が強く腰を押さえて匠の背をベッドに沈める。 「……後悔するなよ。拒絶の声は受け付けないからな」 遙の唇が喉元に吸い付く。そこから耳、鎖骨、胸へと滑り落ち、甘い痛みを伴う痕が次々と刻まれていく。 「……ん、あっ」 匠の声が毛布の奥へ溶けていく。指先は遙の肩に絡み、弱く引っかく。 「……はぁ……あぁっ……」 荒い呼吸、熱に染まる瞳、震える喉全てが遙の欲を更に焚き付ける。 「もう、止まらない……」 遙の指が茶色い髪を優しく掴み、額同士がぶつかるほど近づく。 「……お前が泣き叫ぼうが……何度でも……」 熱い唇がまた重なり、舌が絡む。 「……全部、壊れる程……」 全身を包む熱、狂気と愛が溶け合う深い行為。一度点火した炎は決して消えない。 「……ん、んぅ……ふぁ……っ」 匠の喉奥から漏れる甘い声。その声を封じるように遙は何度も深過ぎるキスを与える。唇を押し潰すように奪い、舌をねじ込む。小さな舌を絡め取り、喉の奥まで侵入するような、重く深い口付けを繰り返す。 「……はぁ……っあ……」 息が途切れ、頬が涙で濡れる。それでも遙の舌は止まらない。離れたかと思えば、すぐに耳介を舌で包む。熱い吐息をぶつけ、舌先が濡れた音を立てて滑る。 「やっ……あっ……あぁっ」 耳朶を噛み、舌で穴をなぞり、何度も何度も甘く執拗に責める。震える肩、引き攣る喉、乱れる呼吸。 「……可愛いな……もっと鳴いてみろ……」 遙の低い囁きが耳の奥へ突き刺さる。そして強く腰を押さえつける大きな手。 「……んっ……や……あっ!」 何度も遙を受け入れた秘部は既に潤っていたが、それでも遙は指を入れる。ゆっくりと波打つように動かし、中を指の腹で撫でる。卑猥な音をわざと立てるように執拗に抜き差しすると、匠は喉を鳴らし声を飲み込む。やがて遙の手が絶対に逃さないように匠の腰を固定すると、徐々に侵入してくる。 「……見てみろ匠、お前のここが俺のを美味そうに飲み込んでいく……」 支配と甘さの混ざった囁き。匠の手はシーツを掴み、首を振る。 「……っ、く……やっ、あぁ……っ!」 腰が無理やり引き寄せられ、熱と熱が絡むように貫かれた。濡れた音と震える声、痺れるような快感と酸欠の苦しさ。 「……お前が誘ったんだ……最後まできっちり責任取れ……男だろう?」 再び耳元で吐息を絡ませながら遙の腰が深く深く、終わりなく沈む。 「……ん、んぅ、あっ……!」 遙の舌が、ただ絡めるだけではない、喉の奥の手前まで侵入するように舌先がねじ込まれる。匠の喉が小さく上下し、涙が零れ落ちた。口の中で遙の舌が縦に、横に、深く動き匠の舌を乱暴に引き寄せ、巻き込み、吸い尽くす。 「……んんっ……!」 声はもう、まともに出せない。空気を求める喉は遙の舌で満たされ、甘い吐息すら絡め取られる。 (……もう、だめ……苦しい……) そんな匠を余所に遙は余裕の表情を浮かべる。 「ほら……もっと舌を動かせ」 耳に落ちる低音。遙の息が熱く絡み、首筋に濡れた吐息が当たる。腰の動きが更に圧を増す。押し潰すように、突き刺すように、支配のリズムで深く沈む。 「……んぁ……あっ!ああぁっ……!」 腰は強く押さえ込まれ、逃げ場は無い。骨盤同士が擦れ、苦しいほどの圧力で一体化する。遙の手が匠の腰を掴み、爪が食い込みそうなほど力が入る。 「そんなに締め付けて、余程気持ち良いんだな……」 奥に届くたびに匠の呼吸が喉で詰まり、小さな悲鳴が漏れる。 「……あ……っ……やぁっ……!」 愉悦に浸る遙は動きを止めない。寧ろ深く、更に強く、容赦無く貫く。 「嫌?……こんなに奥まで受け入れているのに……可笑しな話だ……」 遙の舌は再び喉の奥に絡み、腰は匠の限界を超えるほど深く押し込まれる。もう理性は消え、声も、呼吸も、ただ甘い渦に溶ける。 「……んっ……っ、ふ……あっ……!」 遙の腰が無慈悲な間隔で打ち込まれる。一度押し込むたび、深いところで細かく震えるような振動が伝わり匠の背中が何度も跳ねる。 「あぁっ!……やぁっ……!」 奥の奥、臓腑を揺らすような執拗な律動。下腹が熱く痺れて内側に響く衝撃が止まらない。 「……可愛い声だ……もっと聞かせろ……」 遙の声は低く、濡れた吐息が首筋に絡みつく。その吐息を飲むように匠の呼吸は乱れ、喉の奥で引っかかる。 「……うぁ……あ、あぁあっ!!」 息を吸おうとするたび遙の舌が押し入り呼吸を奪う。酸欠でクラクラになりながらも必死に遙にしがみつき、応える匠。 「堪らないな、苦しそうな表情も可愛いとは……」 熱い唾液が、匠の口内を満たして滴り落ちる。遙の舌は奥へ奥へとねじ込まれる。 (……苦しい……でも……!) 遙の動きは更に深まり、留まる事を知らない。力強い圧力で下腹を突き上げる。そのたびに奥で甘く響き、内側から震えを引き起こす。 「……匠はここが悦いんだったな」 わざと奥を擦り、匠の喉から漏れる声を楽しむように緩急を繰り返す。 「あっ……! ひぁっ……だ、だめっ!」 吐息が絡み声が震え、目には涙が溜まる。腰を引き寄せる力が強まり、逃げ場どころか身体もまともに動かせない。 「ほら、もっと善がれ。お前のいやらしい姿を見れるのは俺だけだ……」 強く、深く、絶え間無く打ち込むたびに奥の奥が細かく震え、快楽と苦しみが混ざり合う。絡む舌、容赦の無いピストン、身体中に響く振動全てが支配と甘美な破滅の螺旋。 「……はぁっ……ひぅ……あ……っ!」 浅い呼吸、熱く濡れた視線。二人の息が絡み合い限界寸前の震えが全身を駆ける。 「……も、もうっ……!」 匠の声が震え、目には涙が溢れる。遙の腰の動きが一定で深く、荒く、狂ったリズムで貫かれる。 「あっ……だめ、で、出ちゃうぅっ……!!」 喉の奥で声が絡み、空気が重く溶ける。 「出せ……俺もお前の中でたっぷりと出してやる……」 低い、抑え切れない囁き。匠の脚が強く絡みつき、遙の身体は縛られる。それでも律動は深く激しく、衰えない。 「あっ……ああっ!!……んあぁっ!!」 瞬間、全身が痺れ、頭からつま先まで狂うほどの快感が走り抜けた。 「……はぁっ……あっ……」 遙と匠、ほぼ同時に達し、痙攣するように全身が跳ねる。押し殺せない声、絡まる舌、震える指。全てが二人だけの熱に溶ける。 「……お前……はっ……俺のものだ……」 小さく、けれど官能的な囁き。そのまま重なり合うように崩れ落ち、額を合わせる。 「……あ……もう、とっくに……お前のだよ……バカ……」 涙と汗、呼吸、熱が混ざり、もう何処が誰のものか分からない。二人は確かに、一つに溶け合っていた。 限界まで震えて、荒い呼吸を繰り返す匠。脳内に残る、激し過ぎる動きに深過ぎる挿入。もう頭がおかしくなる快感。けれど、その先に感じるのは不思議な安堵。 (あぁ、いつもの遙だな……) ぐったりと崩れ落ちる身体。重なったままの遙の体温、強過ぎるほどの支配、肌に刻まれた赤い痕。 (……何だよ……結局、これが……) ゆっくりと目を閉じる。涙が滲んで睫毛が濡れる。 (安心するのかもしれない……) 心臓の早鐘が少しずつ落ち着き、残るのは優しい腕に抱きすくめられる感触。 「お前、安心しているのか……?」 耳元で囁く、低く甘い声。返事は恥ずかしくて出来ないけれど、薄く震える指先が遙の背に弱々しくしがみついた。 「やはり、お前は本当に可愛いな……」 髪を撫でる遙の手。その手のひらが熱くて何処か安心する。 (……もう……好きだ、遙……) 呆れと甘さと苦しさが混ざった感情。それでもこの狂愛に包まれるのが、匠にとっては日常なのだ。そして、また溶けるように眠りに落ちる。

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