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#Thirteen

 確かにそうだ。長い時間、外にいたせいだろう。紅緒の身体は自分が思っていた以上に冷えていたことを彼のあたたかな体温に包まれてはじめて理解した。  ……ティボールトはずるい。  今年で四十二歳と紅緒と同年齢なのに彼の肉体は少しも衰えず、成年の頃と少しも変わらないなんて……。 「そんな状況で何を言っているんだ! そら見ろ、言っている傍から転びそうになったじゃないか。責任感があるのは素敵なことだが、こうまで頑ななのはあまり誉められたものではないぞ」 「ですがぼくは庭師です。奥方様が愛していらっしゃった庭を美しく保つのがぼくの役目です!」 (お願い、この手を離して。でなければ長年溜め込んできた恋心を口にしてしまいそうになる)

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