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#Twenty One

 《chapter Ⅴ》  ティボールトは紅緒を横抱きにしたまま玄関ホールを抜け、二階の踊り場へと続く階段を優雅に上る。  その間にも仕事に勤しむメイドやら執事たちから注目を浴びてしまう。おかげで今の今まで泣いていた紅緒の頭はパニック状態だ。ティボールトの腕の中で身を固くする紅緒だが、対する彼はなんとも思っていないらしく、表情ひとつ変えずに真剣な眼差しで進むその歩みは一定を保ったまま立ち止まる気配はない。  気がつけば、紅緒は最奥の寝室にあるベッドに下ろされていた。  そこにはもう、ティボールトの亡き妻の面影はない。あるのはナイトテーブルとキングサイズのベッドが配置されているだけだった。それがまた、どうしようもないほどのもの悲しさを感じる。  紅緒はただただ項垂れていると、彼は何を考えているのか、目の前で跪いた。

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