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#Twenty Four

 シャーリーンには余命がなかった。  ティボールトの言葉は重みがあり、嘘をついているようには見受けられない。  そう言われてみれば、たしかにシャーリーンは他の貴婦人とは違い、滅多に外出はしなかった。彼女が部屋から出る姿を見かけたのは、『いろは楓』を眺めに庭を散歩するくらいだったと、紅緒は過去を思い返した。  しかしたとえシャーリーンの身の上がそれだったとしても、なぜティボールトは彼女と結婚を決めたのか。 「余命僅かだからって、どうして……」  彼はたしかに情に溢れた優しい男性だ。  しかし、だからといって自分を犠牲にしてまでシャーリーンの願いを聞き入れなければならないのか。  いくら親同士が親友だからといって、人生を左右する事柄を簡単に決めていいのか。  紅緒がティボールトの本心を見抜こうと試みる。

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