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12.甘く包まれて、もう離れられない ※R

ベッドに入って、ふわっとシーツの感触に包まれた瞬間、思わず小さく息を吐いた。 隣から、すぐにぴたっとくっついてくる温もり。 「遥、緊張してる?」 「……まあ、ちょっとだけ」 「そっか、でも大丈夫。今日は無理させない。最後まではしないし」 優しい声。当たり前みたいに、そんなこと言ってくれる拓実。 クズ彼氏に“無理させられた”ことしかなかったから、たったそれだけの言葉で胸がぎゅってなる。 「触っていい?」 「……あ、うん」 拓実の指がそっと俺の髪を撫でて、耳の形に沿ってやわらかくなぞられる。 首筋から鎖骨にゆっくりキスが落ちる。まるで俺の体を知っていくみたいに、丁寧に、確かめるように。 「ん……っ」 息が漏れる。ぞくぞくして、胸の奥がじんわり熱くなった。 「ここ弱い?」 「……たぶん」 「ふーん……敏感なんだ。かわい」 声が近くて、くすぐったくて、でも心地いい。もっとくっつきたくなる。 そして指先が、服の上から胸元に触れてくる。優しく、じらすように、突起の部分をなぞる。 「ん……乳首、気持ちいい……初めて知った……」 「遥って、かわいいこと言うね」 拓実の指がくすぐるみたいにもう一度撫でてきて、反射的に背筋が跳ねた。 「……前の奴は、乱暴で……こういうの、気持ちいいとか、考える余裕なかったからさ……」 ぽろっとこぼれた本音に、自分でもちょっとびっくりした。 けど、拓実は驚くこともなく静かに、でもすごく優しい目をして俺を見つめてくる。 「それなら、今からちゃんと知ってけばいいじゃん。俺と一緒にな」 その声があまりに自然すぎて、胸がふっと温かくなった。 拓実の手は、相変わらず丁寧で、優しくて―― そっと服の隙間から入ってきた指先が、乳首に直にふれた瞬間、 「……っ、あ……!」 びくっと、思わず声が漏れた。 「……な、なにすんだよ……」 「でもさ、ここ触ると、遥すげー気持ちよさそう」 耳元で低く笑う声と一緒に、拓実の指先が乳首をゆっくり摘んだ。 「……ん、あっ……」 びくって身体が反応して、気づいたらシーツをぎゅって握ってた。 「遥、ちょっとこっち向いて」 「えっ……? な、なに……」 言いながらも、首筋にキスされて、抵抗する間もなく体勢を変えられる。 気づけば仰向けになってて、上から拓実の顔が、すぐそこにあった。 「は? え、ちょっ……」 焦ってる俺のシャツを、拓実がふわっとめくる。 ひやっとした空気と一緒に、乳首があらわになって―― 「ちょ、ちょっとマジで、それ以上は俺、無理、いや無理じゃねえけど……!」 「ふはっ。つまり、どっち?」 「……っ、……」 答える暇もなく、拓実の舌がそっと乳首にふれてきて。 「……ぁっ……んっ、……あ、だめ、それ…… 」 「遥、かわいすぎ。マジで、俺の理性やばい」 拓実の舌は止まらない。ゆっくり、じらすようにぬるくなぞって、ちゅっと音を立てて吸う。 「っ、ふ、……んっ……あぁ……」 片方を舌で転がされながら、もう片方を指でゆっくり押しつぶされて、そのたび体がビクビクと勝手に跳ねる。 「かーわい、遥……これ、全部気持ちいいの?」 「ん……っ、言うな……って」 目が潤んで声が上擦る。必死にシーツ掴んでる俺を見て、拓実の動きが一瞬だけ止まった。 「……ダメだ、俺ほんと、ギリギリ。……でも、耐える」 「拓実、マジで……我慢してんの?」 「してるよ。超、してる。正直、遥の声だけで危ない。最後までしたくなる」 「……嘘だろ……」 恥ずかしさに顔を覆うと、優しく額にキスされた。 「でも俺、遥が『いい』って言うまでは、ちゃんと耐えるから」 「……そう言われると、余計ヤバいんだけど……」 「俺の理性が?」 「俺の心臓が、だよ……」 「……あー、かわいい。やばい」 声が低く掠れてて、我慢してるのが伝わってくる。 乳首を片方ずつ交互に吸われ、舌先でじらされ、軽く甘噛みされて―― 電流みたいな痺れが全身を駆け抜ける。 「……っ、それ、だめ……」 「だめ、じゃなくて……“気持ちいい”だろ?」 「ちがっ……でも……っ、あ……ぁっ」 指先が、腹部の下のほうを撫でながらゆっくり円を描く。 触れてるわけじゃないのに、近くをなぞられるだけで全身がびくびく震えて。 「ここも……弱いんだな。かーわい……」 低く囁かれるたび、耳の奥まで甘く痺れていく。 「お前っ、かわいい言い過ぎ……!」 「だって事実だろ。遥は、超かわいいじゃん」 顔が熱くて、もはや思考が回らない。 けど――不思議と嫌じゃない。むしろ、どんどん心が溶けてくみたいで。 「……もう、なんか……いろいろ無理……」 「大丈夫、ほんとに無理になったらちゃんと止める。でも――今の遥、すっげえ可愛いから、拷問だな」 そんなこと、真顔で言うなよ。 俺のことが好きって気持ちを、手のひらから伝えてくるみたいに触れてきて―― ……どこまでなら、許してもいい? そんなこと、今さら考えてる時点で、たぶんもう手遅れだ。 拓実の手は、今度は太ももの内側に滑り込んできた。 「ちょ、そっち……だめっ、だって……!」 「嫌じゃないだろ?」 囁きながら、太ももの付け根を指先でなぞられて頭が真っ白になる。 触れられるたびに、過去の冷たさが洗い流されていく。 「……遥……好きだよ」 その声が、耳に甘く落ちてくる。 熱くて、切なくて、でもどこまでもやさしい。 「ほら、こっちはもう、こんなに……固くなってるし」 拓実がそう言って、俺の中心を握って上下に動かしてくる。柔らかく、じっくりと。背中が反射的に浮いた。 「っあ……、だめ、っ、たく、み……あぁ、あっ……!」 身体がびくびくと跳ねる。涙がにじむ。 でも拓実の手は、それを優しく受け止めるように、絶妙な力加減で愛撫を続ける。 「はぁ……っ、や、ぁ……もう、限界っ……!」 「大丈夫、遥。俺がちゃんと、見ててあげる」 最後、唇同士が触れて優しく舌を吸い上げられた瞬間―― 俺の体が跳ねて、全身が痙攣した。 「っあ、あぁっ……」 快感の余韻に、思わず拓実の胸にしがみついた。 「……は、あ……ぁ……っ」 息が整わなくて、顔も熱くて、まともに拓実の顔が見られない。 そんな俺を、拓実はニヤッとしながら見下ろしてきて―― 「……遥、マジで……えっちで、かわいい」 「ちょ、そういうこと言うな……!」 顔を手で隠しても、拓実の胸にくっついたままだから、逃げ場がない。 「だいじょうぶ。俺だけが知ってるから」 「だから、そういうのが恥ずかしいんだよ!」 「正直、我慢するの、大変だった」 ぼそっとこぼされた声がやけに低くて、ほんの少し震えてた。 「……たくみ……」 名前を口にした瞬間、ぎゅっと、力強く抱きしめられて。 「遥は可愛い……」 ――その声が、すごく苦しそうで、でも、優しかった。 照れくささを誤魔化すように、また顔を隠す。 でも、抱きしめ返してくれるその腕が――あったかくて、やっぱ、ずるい。 「俺、はじめてこんなに……気持ちよくされたんだよ……」 言いながら、自分でも声が震えてるのがわかる。 恥ずかしい。でも、言わなきゃって思った。 拓実はちょっとだけ黙ってから、ぽつりと言った。 「……俺にとっても、こんなに誰かを大事にしたいって思うの、はじめてだから」 そのまま、おでこにキス。 あったかくて安心して、息がふって漏れた。 「可愛すぎて、壊したくなる。でも……絶対、壊さねぇから」 その言葉が胸に落ちて、奥の方がじんわりした。  壊されるの、慣れすぎてた。 だから余計に、今の拓実の言葉が刺さった。

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