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第4話

 元々ディーディア人は子供が生まれにくい体質であったらしい。それゆえに王族や貴族はもちろん、金銭的に余裕のあった男達は複数人の伴侶を迎えることが許されており、その中には外国人も多く含まれていたという。おかげで今のディーディア人に子供が生まれにくいということは無いのだが、その古い習慣だけが未だに残っているのだ。それを知ってか知らずか、凪を連れて兎堵を出た母親はディーディアにたどり着くと、暫くして王の妾になったから一緒に宮殿へ行こうと言った。だが、母の実子であるとはいえディーディア王家とは何の血の繋がりも無い、まして男の身である凪に後宮での居場所などない。  働いたこともなく、ディーディアに知り合いなどもいないと困り果てていた凪に手を差し伸べたのは、この国の第二王子サーミフ・ディヤブ・アル・ナシームだった。いわく、己の宮殿で使用人として働けばよい、と。

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