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第8話
「ナギったら冷たいわ」
「私たちはただいつだって殿下に癒しを差し上げたいだけなのよ?」
歩みを止めない凪を追いかけながら、彼女達は美しい顔を寂しそうに曇らせて言う。ただ殿下を癒したいのではなく、ただ殿下に癒されたいの間違いでは? と胸の内で毒づきながら、凪は「存じております」とだけを返して奥へ続く道へ足を踏み入れた。この奥にはサーミフの寝室があり、彼女達は呼ばれない限り足を踏み入れることができない。例外は彼の身の周りを世話する側仕えだけだ。そのため彼女たちは不満そうな顔をしながらもそれ以上凪を追いかけることはせず、ただただその場で凪の背中を見送る。そんな不満や羨望の眼差しを受けながら、凪はノックをしてサーミフの寝室に足を踏み入れた。
いつも拙作を読んでいただき、ありがとうございます!
お盆の疲れが出たのか、ズルズルと風邪症状が続いておりまして……。
一度お薬を飲んでグッと寝て治そうかと思いますので、2日ほど更新をお休みさせていただけたらと思います。
更新再開しましたら、また楽しんでいただけましたら幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
十時(如月皐)
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