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第10話
「殿下、朝です。いい加減に起きないと陛下との会合に遅れますよ」
第二王子とはいえ政の一端を担っているのだ。睡魔に負けて会議に遅れるなど言語道断であるし、サーミフもそんなことは望まない。だからこそ凪は無遠慮ともいえるほど強い力でグイグイとサーミフの肩を揺さぶった。深い眠りを堪能していたサーミフも、流石に頭がガクガクするほど強く揺さぶられれば起きざるを得ない。眉間に深い皺を刻んだ彼は幾度か顔をしかめた後、ゆっくりと瞼を開いた。
「おはようございます殿下。既に朝食の準備が整っておりますので、お早く起きてください」
もう一度眠られては敵わないとばかりに、凪は柔らかな羽根布団を畳むとサイドテーブルに置いた銀のトレーから水差しを取り、金細工の杯に注いだ。その間に低く唸ったりゴロゴロと往生際悪くベッドに転がっていたサーミフも名残惜しそうにしながら起き上がり、ふわりと欠伸をひとつ零して凪の差し出した杯を受け取り、勢いよく飲み干した。
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